りんご農家だけが知る希少な漬物


日本海に面した青森県津軽地方は、白神山地や岩木山などの山々を抱え、広大な津軽平野を有する。夏は涼しく、冬は雪の多い地域である。
この地形と気候から生まれた独自の発酵食文化を、津軽の郷土食を継承するグループ「津軽あかつきの会」のみなさんに教わった。

未熟りんごの漬物

りんご農家だけが知る希少な漬物

青森県といったら、りんごを抜きに語ることはできない。全国第1位の生産量。どこまでも続く広大なりんご畑は、日本中探しても他にはない光景だ。りんごの漬物は、実は農家だけが作ることのできる、非常に珍しい漬物である。なぜなら、使うのは市場に出回っているりんごではなく、まだ熟れる前の状態のもの。りんごは色付けと貯蔵性のために袋をかけて栽培する方法があるが、その袋を剥ぐとき、地面に落ちてしまったりんごをもったいないから、と漬物にしていたことが始まりなのだ。みずみずしいシャクシャクとした食感で、ほんのり甘酸っぱく、味はちょっと梅干しにも近い。完熟したりんごで作ると、ぶよぶよとした質感になってしまい、おいしくないという。りんご農家でなければなかなか出合えない、幻の漬物だ。

塩水に漬けて1年経ったりんご。未成熟のりんごで作るため、甘さはそれほどなく、野菜のような感覚で食べられる。たまに現地の直売所などで見かけることもあるそうだが、市販品は塩気が強いことも多い。

材料

りんご(色付く前の未完熟のもの)……適量 
塩……りんごの重量に対して8%
水……適量
唐辛子……お好みで

作り方

  1. 樽に塩をまきながら、りんごを丸ごと敷き詰める。なるべく隙間のないようにきっちり詰める。時々唐辛子を入れる。
  2. りんごがひたひたになるくらい水を注ぎ、落し蓋の上から十分に重石をかける。
  3. 冷暗所で保存する。半年以上置くと、味がのってくる。

text 江澤香織 photo 船橋陽馬

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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