語り継がれるスペシャリテ③ 本多 誠一氏(スリオラ)「天然ウナギとパエリア」× SAKE HUNDRED「百光 別誂」


トップシェフたちが作るスペシャリテ。完成するまでには、試行錯誤と努力の日々がある。匠と思いが具現化した一品。だからこそ、その傍らには、日本が世界に誇るラグジュアリーな日本酒「SAKE HUNDRED」がふさわしい。美酒とともにスペシャリテの裏側にある物語を開いてみよう。

本多 誠一
高校卒業後、フランス料理店「テラズ」を経て、98年渡仏。ブレス「ジョルジュ ブラン」、リヨン「ピエール オルシ」、ジュネーヴ「ドメーヌ ドゥ シャトー ヴュー」などで研鑽を重ねる。バスク「ル フロントン」でスーシェフ。2002年にはスペインへ移り、「カーサ ウロラ」に入り、2004年シェフ就任。2006年に帰国し、日本料理「龍吟」に入り、2008年からは日本橋「サンパウ」のスーシェフとして活躍する。2011年に独立し「スリオラ」を開店。

シェフに選ばれた1本
「百光 別誂」
200時間以上をかけて原料米を精米歩合18%まで丁寧に精米し、圧倒的な透明感と上質な味わいを実現した1本。
シェフのコメント
「このお酒はすごく綺麗。丁寧に米を磨いているからこそでしょうね。その綺麗さの中でボリューム感もある。これがウナギにあう」。

野生の生命力、天然のパワー

生家は千葉の鮮魚店。「今でも魚は自分でさばく。毎日魚を見たい。好きなんですよ、魚が」という本多氏。一方、キャリアを積む間に出会ったのがジビエ。スイスでの活動はジビエをより身近で感じるための選択。魚の目利きであり、山里の恵みを知るプロともなったシェフが選んだ場所はスペイン、サン・セバスチャン。


「漁港の街。海があって、そのすぐ裏には山。1年だけいる予定が2年、3年、4年…(苦笑)」。
その日々は運命的なものだったのだろう。魚とジビエ、共通のキーワードとして浮かぶのが「野生」であり「天然」。
「野生、天然のものは生命力が強い。パワーが違う」
今回選ばれた酒は「SAKE HUNDRED」から「百光 別誂(びゃっこう べつあつらえ)」。料理に使われたのは天然のウナギ。別の候補としてシカがあった。「この酒に合わせるなら野生の生命力が必要だと思いました」という本多氏。なぜ必要だったのかは、実際にペアリングをすることで納得、いや、それ以上の発見があった。

スペイン、日本、そして新たな体験


その前に、今回のスペシャリテを見ていこう。「天然ウナギとパエリア」。ウナギ自体はスペインでも食されているもの。北では唐揚げ、地中海側では煮込みなどでも食されるが、なんといってもスペインでは稚魚、シラスウナギだ。特にサン・セバスチャンでは1月20日のタンボラーダというお祭りでは欠かせない。近年では価格が高騰しているが、それでも食べたいという風物詩のひとつである。
今回使われたのは、琵琶湖産、1.3㎏という天然の大物。希少なサイズだ。ただし、天然だけに個体差には注意が必要、と本多氏。
「同じ場所でも、良いものを食べているのか悪いものを食べているのか。それにより大きく変わる。匂いでわかります」。


選ばれしウナギを丁寧に焼き、そこにタレのようにアドボソースを塗る。本来はマリネに使われるもので、オリーブオイル、ニンニク、パプリカに様々なスパイスを用いて作られる。これが和食としてのウナギ料理ではなく、本多氏のウナギ料理になるポイントだ。合わせるのはウナギとひよこ豆でとった出汁で炊いたパエリア。香りから深く、濃い。

完成された一皿は、一見すると和の世界。親しんできたウナギ料理、しかし食してみれば、未知の体験。ウナギを良く知る日本人にとっても、新たな魅力を存分に感じるものだろう。

期待と出会い。どちらにも応えたいから
では、百光 別誂とともに。


「このお酒はすごく綺麗。丁寧に米を磨いているからこそでしょうね。その綺麗さの中でボリューム感もある。これがウナギにあう」(本多氏)。
しかも単なるウナギではない。「このサイズだからこそ」と言う大ぶりな天然ウナギならではの野性味あふれるゼラチンと脂の力強さ、甘くふくよかな香りと身、そこに芳ばしくエキゾチックさもあるアボドソースの焼き目と歯ざわり。舌に心地よく残る脂からも、自然界のモノを食べてきた複雑さが感じられる。


ワインや日本酒とのペアリングでは、こうした脂を酸で切ることも多いが、百光 別誂は切るという感覚ではない。野生の生命力と美しいボリューム感が手を取る。一口飲めば、新たにウナギの力が押し寄せてくる。そして再びもう一口。
さらに不思議なことが起こる。百光 別誂はそれ自体のバランスを見事に表現した日本酒だが、ウナギの魅力を引き受けて、バランスの中にあった、酸味や苦み、複雑なハーブ感が顔を出す。添えられたマリーゴールドの爽やかさと苦みがここで結びつき、料理も百光 別誂も鮮やかさが増す。一瞬、フランスの薬草酒であるパスティスを思わせる風味に。再びウナギと、また濃厚なパエリアとも絡み、さらにグラスと皿が一体化していく。

その混然一体が喉を滑り込んでいくと、体の中で、再びウナギの生命力が躍動する。単純なバランスではなく様々な要素が現れ、手を取り合い、また別の要素が顔を出し、どこかに連れていかれる。長い時間軸で多様なバランスが堪能できるのだ。


ウナギ、パエリアの絶妙な組み合わせの料理と百光 別誂のペアリングでもあり、野生の生命力と百光 別誂のペアリングともいえる。天然の魚、ジビエのオーソリティである本多氏ならではの作品だ。
「なぜジビエを追求したかと言えばレストランとしての特徴が出しやすいから。そこに食べに行くという意味が生まれてきます」
美味ということはもちろんだが、レストランは出会いであり発見の場でもある。何を求めてゲストはレストランに行くのか?本多氏はゲストの出会いや発見を大事にする。

「日本においてスペイン料理はまだ、食べることが初めての人が多い。ということはまずスペインワインを楽しみに来られています。例えば5杯のペアリングの中でスペインワイン以外があるとテンションが下がってしまいます。それが次の料理やワインにも影響及ぼしてしまう」。
その前提があったうえで、最近では日本酒を組み込む機会も増えてきたという。


「最近になって、リピーターさんには少しずつ日本酒を挟み始めました。最近の日本酒は綺麗な余韻が続くものが増えてきた。スペインワインもここ15年、20年で変わった。以前はいかにも太陽をたくさん浴びましたというだけのものもあって、そこからエレガントなワインが増えてきました。日本酒も同じように、百光 別誂のような新しいスタイルの素晴らしいものが出てきた。個性があって飲んでいて楽しい。探りたいという気持ちになりますね」


魚と育ち、ジビエを探り、スペインに出会った。そのすべての出会いと発見を今日と明日の料理に紡いでいく。そこに百光 別誂が新たな探求心の火をつける。

「百光 別誂」の詳細はこちら https://sake100.com/item/byakko_bespoke/latest

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