日本、中国、フランスのうま味を使いこなす


日本料理のうま味
利尻昆布とかつお節でつくる一番だし

「日本料理はうま味を中心に料理を作る、世界でも稀な料理です。しかし、だからといって『昆布がないからだしがつくれない』『大豆がないからしょう油がつくれない』では、せっかく和食が世界遺産に登録されたのに、日本料理は世界の料理にはなれません。これからの若い料理人たちは、うま味についてもっと勉強するべきだと思います」

 参加者たちは、配られた昆布だしをまず半分だけ飲み、次にカツオ節を口に含んでよく噛み、そのあとにもう一度、残った昆布だしを飲む。最初に味わった昆布だしよりずっと強いうま味を実感し、改めて、うま味の機能のひとつである相乗効果を実感した。

京都老舗料亭の一番だし

中国料理のうま味
代表的なだしである上湯スープに昆布を

「中国料理の代表的なだしといえば上湯スープ。ウチでは、金華ハムや豚スネ肉、老鶏に 10年ほど前からは昆布を加えています。鶏肉や豚肉のイノシン酸と昆布や金華ハムのグルタミン酸の相乗効果によって、うま味がグッと強くなり、よりおいしい金華上湯がつくれるようになりました」

 続いて静岡県の特産品である生桜エビと干し貝柱、ニンニク、エシャロット、生赤トウガラシを使って桜蝦仁 XO 醤の調理デモンストレーション。生桜エビのイノシン酸と干し貝柱、ニンニクなどのグルタミン酸で、うま味の相乗効果が生まれた。

玉露金華上湯のうま味成分

フランス料理のうま味
トマトと鶏のコンソメで相乗効果を狙う

鶏のコンソメとトマトウォーターを使ったうま味の相乗効果の体験からスタート。山口さんは、鶏のコンソメの中に半球型に凍らせ、ベジタブルゼラチンでコーティングしたトマトウォーターを浮かべ、口中で初めに鶏のコンソメのイノシン酸を感じ、次に弾け出たトマトウォーターのグルタミン酸と混ざることで、うま味の相乗効果が生まれることを実証。参加者たちも実感した様子だった。

「ロメインレタスはベーコンとコンソメで煮込み、盛り付けた豚足に添えます。ロメインレタスもうま味成分が豊富なので、豚足のゼラチンとあいまって、うま味たっぷりの一品になります」

鶏のコンソメとトマトウォーターのうま味成分

本記事は雑誌料理王国2014年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2014年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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