日本の食材をふんだんに使用し、独自の世界観を持つフランス料理を提供する「エスキス」。オープンして6年、シェフのリオネル・ベカさんの日本食材への習熟度は増して、さらなる進化を遂げている。
その進化の一翼を担うのが、「発酵」だ。発酵食品の宝庫であるフランス出身のベカさんは、日本の発酵についてはどう考えていたのだろうか。
「もともと、発酵には興味を惹かれていましたが、取り入れてみようと思ったのは、日本に来てからです。1万㎞以上離れているフランスと日本では、空気中にいる菌も土壌も、発酵の歴史も違います。日本の発酵食品を食べたときに感じた、その違いは衝撃でした」
味噌汁など日本の発酵食品を食べたベカさんは、スッキリした味わいに衝撃を受けたのだという。フランスの発酵食品は、たとえばチーズのように、どちらかというと重く、濃厚な味わいのものが多いからだ。
発酵の個性は、異なる環境によって生じている。それを、身をもって理解したのだろう。発酵を用いたベカさんの料理は、フランス料理でありながら、日本の発酵を活かし、深く複雑な旨味が見事に加わる。
「発酵そのものが目的ではないので、とくに積極的に取り入れているわけではないんです。キュイソンと同様に、発酵も食材を料理にするための手段のひとつでしかありません」
そうは言っても、キュイソンのように発酵をコントロールすることは至難の技なのではないだろうか。
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www.esquissetokyo.com
※2019年1月リニューアル予定