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帝国ホテルのパティシエから「氷彫刻士」として活躍


「第17回クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」への仲間との挑戦

しかし、コロナ禍で宴会は激減し、赤羽目さんが氷彫刻をつくる機会も減った。今はパティシエの仕事を主軸に、依頼があれば氷彫刻をつくる日々を送る。ただ、嬉しいニュースも飛び込んできた。延期が続いていた洋菓子の世界大会「第17回クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」の本戦が9月24、25日に開催されることになったのだ。

「この大会は3人ひと組のチーム戦で、2019年3月にあった国内予選で日本代表に選ばれてからは、チームを組むことになった塚田悠也さん、原田誠也さんとともに練習を積み重ねてきました。しかし、コロナ禍で本戦が2回も延期になって、モチベーションを維持することが難しかったです。今回こそは開催されるみたいなので……。出場するからには結果は残したいですね」と決意を語り、9月17日、赤羽目さんは決戦の舞台であるフランス・リヨンへ向かった。

結果は、みごと銀メダル獲得。新たな勲章が、またひとつ加わった。

ジェラートの世界大会「コッパ・デルモンド・デラ・ジェラテリア2020」に出場したときの日本チーム(赤羽目さんを含む4人の帝国ホテルのシェフとパティシエ)の作品。赤羽目さんが氷彫刻を彫り終えると、会場がどよめいた。

そんな赤羽目さんには、忘れられない先生のひと言がある。
「学生時代、私がチーズケーキをナイフで無神経に切っているのを見て、『お前はパティシエには向いていないな』とおっしゃったんです。そのときは、先生の言葉とはいえ、やはりムッとしました。しかし、今思えば当然の言葉です。先生は、パティシエには繊細な気遣いが必要だと伝えたかったんだと思います。ひとつひとつの気遣いが、最後の仕上がりに直結する。パティシエになった今だからこそ、心に響く言葉です」。

そして、若い後輩たちにエールを送る。
「学生時代は、いろいろなことに関心を持ったり、仲間を増やしたりすることも大切です。仲間がいるからこそ『みんなに負けたくない。頑張るぞ』という気持ちにもなりますし、仲間は自分が辛いときに支えにもなってくれます。それと、料理人やパティシエという仕事を楽しんでほしいですね」。
その言葉通り、氷を彫る赤羽目さんの表情は柔らかく、どこか楽しんでいるようでもあった。

PROFILE
赤羽目 健悟 (あかばめ けんご)
1984年、東京都生まれ。2004年3月、服部栄養専門学校調理師本科(昼1年)を卒業。2年間老舗洋菓子店に勤務したのち、 07年に帝国ホテルに入社。調理部ペストリー課に配属される。20年、ペストリー課スーシェフとなり、氷彫刻の専任者としても従事している。

HOTEL DATA
帝国ホテル 東京
東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL 03-3504-1111
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo

text: Shoko Yamauchi  photo: Tomoaki Hori

本記事は雑誌料理王国319号(2021年12月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は319号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは、現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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