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【広東名菜 赤坂璃宮】進化し続ける名物料理 フカヒレの奥義とは?


「戻し」から始まる、フカヒレの技。1枚1枚をよく見て蒸していく

【広東名菜 赤坂璃宮 譚彦彬さん】進化し続ける名物料理 フカヒレの奥義とは?
一品料理になるまで2~3日かかる「フカヒレの醤油煮込み」。アオザメのフカヒレに、滋味溢れるスープをたっぷり吸わせる。繊維一本一本が放つプリッとした食感は、まさに「金糸」の名にふさわしい仕上がりだ。

いかにやわらかく仕上げるか戻し方がカギになる

今回、譚さんが披露してくれた「フカヒレの煮込み」は、「赤坂璃宮」 を代表する一品。上海風の姿煮とは異なり、「金糸」と呼ばれるフカヒレの太い繊維をほぐして提供する広東風だ。「日本におけるフカヒレ料理は、上海風の姿煮がポピュラー。 70年代の終わりから90年代にかけて広東料理が広まったものの、お客さまからは怒られたこともあります。なぜ、ここのフカヒレは形が崩れているのかと(笑)」

譚さんは、繊維が太く色ツヤのいい素材を選び、アオザメ、モウカザメ、ヨシキリザメなどを使用。「技術的には、フカヒレをいかにふっくらとやわらかく戻すかが、仕上がりの大きな鍵を握る。「そのためには根気よく水に浸ける。蒸す時間をしっかりとる。蒸し上げたら、次はスープの味をきちんと含ませながら煮込んでいく。これが基本的な流れで、だいたい2~3日かかります」

何度も目で確認し手で触れて覚える

最初の工程は、フカヒレを戻すところから始まる。「赤坂璃宮」には、乾物を扱う「戻し専門」のシェフがいる。そのシェフと譚さんとで、最適な戻し加減を見極めていく。「ひと晩ぬるま湯に浸けて、表面の黒い皮をはがします。浸けすぎると、皮についている砂のような繊維が抜けて金糸の中に入り込んでしまうし、浸けるのが弱いと今度はそれが落ちない。しかも干しすぎて抜けないものもあれば、干しが甘くてすぐに抜けるのもある。その頃合いを手で触り確かめながら、一度に30~40枚単位で慎重に進めていきます」

【広東名菜 赤坂璃宮 譚彦彬さん】進化し続ける名物料理 フカヒレの奥義とは?
戻しからいくつもの工程を経て、スープで炊いた状態のフカヒレ。やわらかさの基準は、色ツヤと、触った感覚。「こればかりはレシピ化できない。何度も繰り返して覚えるのみです」。

次に、戻したフカヒレを、ネギ、ショウガ、酒でじっくり蒸す。40分ほど蒸したら、匂いのついた水を替える。通常、それを3、4回繰り返すと、繊維が太くふっくらとしてくる。ここでも大切なのは、1枚1枚をよく見て、その都度判断していくことだ、と譚さんは言う。「その判断は、レシピでは伝えられません。反復練習で覚えるしかない。何度も目で確認して、指で触れてやわらかさも確認する。ヨシキリザメならこれくらい、アオザメならこれくらいと、鮫の品種によっても異なります」。

こうして、30~40枚が同じやわらかさに揃ってきたら、豚肉、鶏肉、金華ハムなどを6時間ほど、半分の量まで煮詰めた基本のスープで炊き、お客さまに提供する直前に鍋で煮込み、味を仕上げる。どの工程にも、繰り返し身体で覚えてきた技が満ちている。そして今も、その味は「もっとうまく作れるはず」という譚さんの探究心によって、進化し続けているのだ。

【広東名菜 赤坂璃宮 譚彦彬さん】進化し続ける名物料理 フカヒレの奥義とは?
最後の煮込みにかける時間は3~4分程度。スープ、醤油、塩で味をととのえていく。つねに鍋をゆすり、まんべんなく火が入るよう細心の注意を払い、火からおろすタイミングは、やはり色ツヤだ。

Hikoaki Tan
1943年横浜中華街生まれ。
新橋「中国飯店」、芝「留園」、京王プラザホテル「南園」副料理長、ホテルエドモント「廣州」料理長を経て、1996年「広東名菜 赤坂璃宮」のオーナーシェフに。2004年「広東名菜 赤坂璃宮 銀座店」オープン。

広東名菜 赤坂璃宮 銀座店

広東名菜 赤坂璃宮 銀座店
東京都中央区銀座6-8-7
 交詢ビル 5F
03-3569-2882
● 月~土 11:30~15:00LO/17:30~22:00LO
日、祝 11:30~16:00LO/16:00~20:30LO
● 年末年始休
● コース 昼3500円~、夜10000円~
● 114席


浅井直子=取材、文 花村謙太朗=撮影
text by Naoko Asai photos by Kentarou Hanamura

本記事は雑誌料理王国284号(2018年4月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は284号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは、現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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