地方で『人を呼ぶレストラン』を作るために必要な条件をテーマに、「料理王国」が注目する地方の料理人50人にアンケートを行った。北海道から沖縄まで、地方スターシェフ50人の生の声を紹介する。
凡例
(1) お店がある地域の魅力をお教えください。
(2)(1)でお答えいただいた地域の魅力を、お料理やお店の空間でどのように表現されていらっしゃいますか? 具体的な例を交えてお答えください。
(3)地方で「人を呼ぶレストラン」をつくる上で、いま何がもっとも大切だと思われますか?
(1) 北海道、札幌の中心地から20分ほどの高級住宅街に「ル・ミュゼ」はあります。アクセス的に札幌駅からさほど遠くない立地ですが、緑が豊かで、すぐ裏には、自家農園があり、野草、キノコなど、様々な食材が豊富にとれます。都会と田舎のいいとこ取りのような場所。非常に魅力的です。
(2) 音、空気、光、風……。そうした自然を感じられる空間です。料理は、斬新さと素朴さとの対比。ファンタジックでリアル。この土地、この場所だからこそ打ち出せる、そんなコントラストを描いています。使う食材や器は、できるだけ素朴でナチュラルなもので、あえてモダンにはしない。地元のありふれた食材を出来るだけ使い、採れたてをその場で仕上げるスタイルが多い。野菜やキノコを使ったクリエイションは、その代表的な例です。
(3) 人の評価に左右されない店作り。人と争わないこと。自分自身が価値を感じ、自分たちが楽しんで毎日を送ること。その延長上に他にはない【個性】が生まれる。トレンドは、追いかけるものではなく、意識せず自らが創造していくもの。この土地で暮らし、この土地にあるものを見つめ、自然体の中で生まれる表現が一番大切だと思う。【人を呼ぼう】と、何か仕掛けることよりも、その土地にある【本質】をそのままリアルに表現することが、一番の集客方法だと自分は思っています。
ル・ミュゼ
Le Musée
北海道札幌市中央区宮の森1条14丁目3-20
011-640-6955
(1) 「大自然の北海道」のなかでは、都会の札幌。ただ、周りには畑なども多く、たくさんの食材が集まる。近くに自然がある、適度に都会な便利な街です。
(2) 地元の食材を楽しみにしている遠方からのお客様も多いため、道産食材は多く使用しています。しかし、地元のお客様もたくさんいらっしゃるので、イタリアやフランス、道外の食材などもうまく組み合わせて、驚きのある楽しい出し方を工夫しています。
(3) また来たくなる温かさ、を共有できるスタッフを育て、向上を続けること。「地方」と思わないこと。
リストランテ カノフィーロ
RISTORANTE TERZINA
北海道札幌市中央区南2条西1丁目アスカビル2F
011-242-0808
(1) 美瑛産の新鮮食材がある。
(2) ゆでたての野菜。生の野菜をピクルスに。
(3) 地元で食べられる野菜を提供でき、新鮮な旬をお出しで
きればと思います。
レストランビブレ
Be.Blé
北海道上川郡美瑛町
字北瑛第2 北瑛小麦の丘(旧北瑛小学校)
0166-92-8100
(1) 羊蹄山から湧き出る水がおいしい。野菜が季節ごとに収穫され、どれもおいしい。農村地帯なので、特別扱いされていないのが良い。
(2) 料理構成としては、主に地元野菜をメインに季節ごとの食材をメニューに取り入れています。特に、前菜プレートはその象徴でもあります。
(3) 地元の食材を使うことは当たり前であるが、時間(その土地にどれくらい根ざすことができるか)と、いつも交わらないクオリティー、そして気持ちの継続。都会では食べられない料理(表現)の方法。
レストランマッカリーナ
Restaurant maccarina
北海道虻田郡真狩村字緑岡172-3
0136-48-2100
(1) 札幌市すすきのの中心部にあり、アクセスがしやすい。魚介が豊富。
(2) 江戸前の技法を駆使し、北海道の食材を使ってオリジナルな寿司を提供している。(ボタンエビの意匠登録を取得)
(3) その地方、その店の特化したもの、そこでしか味わえないものやサービスを、まごころをもって提供する。王道をふまえて、進化したものを筋(道理)よく創り上げる。「温故〝創〞新 」の精神。
すし姫沙羅
SUSHI HIMESYARA
北海道札幌市中央区南6条西4丁目
プラザ6・4ビル 4階
011-520-5656
本記事は雑誌料理王国2016年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2016年11月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。