東京で世界のスパイス&ハーブを堪能できるお店6選


世界各地で使われているハーブやスパイス。しかし、その食べ方には、それぞれの国の歴史や文化、気候や地形が色濃く反映されている。地域が変われば味も調理方法も変わる、まだ見たことのないハーブ&スパイスの味を巡る旅へでかけよう。

【新橋】荒井商店
ムール貝のカジャオ風

ペルー原産の食材に、多様な文化が融合した自由な料理

 ペルー料理の店「荒井商店」には、本場の味を求めて訪れる客が多い。腕を振るうのはオーナーシェフの荒井隆宏さん。日本で研鑽を積んだ後、ペルーで一年間料理を学んだ。

 ムール貝のカジャオ風は、ペルーの首都リマの下町・カジャオで代表的な前菜。レモンやパクチーの爽やかな香りが口いっぱいに広がり、黄トウガラシの辛さがあとから感じられる、酒にもよく合う一品だ。黄トウガラシは辛味の中にほのかな甘味があり、味わいに奥行きが生まれる。しかし、日本では黄トウガラシは手に入りにくい。

「ほかの生トウガラシを使うときは、量を加減して。生のものがないときは、粉っぽさが残るパウダーではなく、鷹の爪を水で戻して刻んで使うのがおすすめです」

使用スパイス&ハーブ
パクチー、黄トウガラシ、ニンニク

ペルー料理に欠かせない食材、トウモロコシは、チョクロという大粒の品種を使用。でんぷん質が多く、モチモチとした食感がクセになる。
レモン汁と刻んだニンニク、パクチーを合わせたマリネ液に、紫タマネギ、万能ネギ、トマト、黄トウガラシを刻んで合わせ、オリーブオイル、トウモロコシを加えたサルサソース。
ゆでたムール貝に、サルサソースをたっぷりとかけて完成。ムール貝のゆで汁のジュレをのせるのは、荒井さんのオリジナル。

ペルー
ペルーは、アンデスの山々を原産とする野菜や、フンボルト海流が育んだ海産物というように食材が豊富である。インディヘナと呼ばれる先住民の食文化に、スペイン、イタリア、アフリカ、中国、日本などの多様な移民たちの食文化が融合し、複合的で多種多様な料理世界が築き上げられた。ペルー料理に欠かせないスパイス・トウガラシは150種類以上もあるが、ヨーロッパの文化が色濃く取り入れられているため、食べやすい味つけが多い。

荒井商店
ARAISHOTEN
東京都港区新橋5-32-4 江成ビル1F
03-3432-0368
● 11:30~15:00、18:00~23:00
● 日休
● 18席


平山祐子=取材、文 林 輝彦=撮影


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