【コラム】社会とつながりはじめたレストラン


「アジアのベストレストラン50」の2018年版で初めて設立された「アジアのサステナブル・レストラン賞」に、東京の「レフェルヴェソンス」が選ばれた。平成後半の食のテーマになった「サステナブル」とは──。

「アジアのベストレストラン50」の2018年版で「アジアのサステナブル・レストラン賞」が新設された。初代受賞レストランには、「レフェルヴェソンス」(東京)が選ばれた。なお、「世界のベストレストラン50」では、アジアに先駆けて、平成26(2014)年からサステナブル・レストラン賞を設立している。生江史伸さんがシェフを務める「レフェルヴェソンス」は、平成27年(2015)年に改装・リニューアルをした。その際に掲げたコンセプトのひとつがサステナブルだった。以降、レストラン全体で積極的に取り組み、受賞につながった。
サステナブルとは「持続可能」を意味する。拡大・消費し続けてきた人間の文明・経済システムを問い直し、持続可能な世界を目指そうとする意味や概念として使われている。国連の主要開発機関であるUNDP(国連開発計画)は、約170の国と地域での活動を通じ、平成28(2016)年から 15年かけてSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指すと発表。料理界だけでなく、世界が目指すテーマとなった。

ミラノ博でボットゥーラ氏が廃棄食材レストランを企画した

平成27(2015)年の、食をテーマにしたミラノ国際博覧会(万博)は記憶に新しい。この開催地が決定されたのは、平成20(2008)年。このときすでに、博覧会のテーマは、「地球に食料を、生命にエネルギーを(Feeding The Planet, Energy For Life)」に決まっていた。ミラノ万博の開催国イタリアの三ツ星レストランで、当時「世界のベストレストラン50」で2位だった「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラ氏が、万博内で出た廃棄食材などを使って、レストラン「レフェットリオ・アンブロジアーノ(ミラノ食堂)」をオープンさせた。これは、強い影響力をもつ世界的シェフの取り組みによって、サステナブルへの関心を急速に高める結果になった。そして翌年の「世界のベストレストラン50」で、ボットゥーラ氏は世界一になった。

レフェルヴェソンスがリニューアルした平成27年には、現在国内外の学会でフードロス問題などについて積極的に発言する川手寛康さんの店「フロリレージュ」が東京・神宮前に移転していた。当時メディアでよく紹介されていたのが、経産牛を使った「サステナビリティ 牛」だった。平成末には「食を通じて社会と関わり合う」というテーマが明確になった。料理人の社会参加によって、より良い世界の実現につながることを期待したい。

「フロリレージュ」の「サステナビリティ 牛」。出産を終えた経産牛は、それまで廃棄されるしかなかった。その牛を、食べられることで命の役目を終えさせたい、というメッセージが込められている。

本記事は雑誌料理王国2019年3月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2019年3月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする