2024年10月21日
山がちなアブルッツォは羊飼いが多く、彼らの伝統が反映された郷土料理が数多く残っています。連載第2回目のコラムで紹介した漁師小屋「トラボッコ」も、プロの漁師でなく、冬に仕事が無くなる羊飼いが造ったものでしたね。
この旅の中で、アブルッツォの郷土料理「アロスティチーニ」に出合いました。小さく切った羊の赤身肉に時折、脂を挟んで串に刺し、フォルナチェッラという専用の焼き台の上で炭火で焼きます。塩をあて、ほのかにハーブの香りを移すだけという極シンプルな味つけですが、水やエサの違いか、そして新鮮さゆえか、臭みが全くありません。「チャボリック」のオーナー、キアラ氏とのディナーでは、アロスティチー二とモンテプルチアーノ・ダブルッツォを合わせたのですが、これが相性抜群。心を鷲掴みにされました。写真中央のように、焼きあがったものを陶器に入れて提供します。日本の焼き鳥は、食べ終わった串を容器に入れることがありますが、アロスティチーニは逆なのですね。ちなみに、日本のサイゼリヤでもアロスティチーニを食べることができます。
text・photo:ナナコ(料理王国編集部)、photo:池田匡克