カフェに学ぶ夏デセール「カフェ リゼッタ」


素朴なフランス菓子に季節感を添えて

【二子玉川】カフェ リゼッタ

パティスリーに匹敵するクオリティでスイーツを楽しめるカフェが増えています。人気カフェのイチ押しのデセールを紹介します。

リネンの洋服やナチュラル素材の雑貨などを扱うブティックの一角に2006年にオープン。鶴見昂さんが手がける、フランスのエスプリを感じさせる軽食やデザートが口コミで評判となり、2年前に全面がカフェとなった。

デザートは、レストランで出るアートのような皿や、構成要素が複雑なものは作らない。主軸はフランスの素朴な郷土菓子。鶴見さん自身が好きな菓子であり、ヨーロッパのアンティーク家具をしつらえた、南仏の田舎の家風のインテリアにも合うことからそうなった。現在メニューに載る「フロニャルド」はリムーザン地方の菓子。「ケック・ジェローム」も伝統菓子のカトルカールがベースだ。これらをフランスで購入したレシピ本などをもとに作る。同じ生地を使いながらバリエーションがつけられるのも魅力のひとつ。「ケック・ジェローム」なら、生地に混ぜるガルニチュールを、「フロニャルド」なら焼き込むフルーツを違うものにするだけで、表情を変えたり季節感を出したりできる。漬け込むシロップで風味が変わるババも気に入っている菓子。そこにさらにひと手間。冷たいアイスクリームや温かいソースをプラスし、カフェの空間でしか味わえないデザートに仕立てている。

ケック・ジェローム

メニュー名はオリジナルだが、ベースはバター、粉、砂糖、卵が同配合のカトルカール。ウイスキーマーマレードや柚子のコンフィチュールなど、ガルニチュールにより温かいソースのフレーバーも変えて。

材料(25cmのドロワ型1台分)

発酵バター…200g/粉糖…200g/薄力粉…145g/アーモンドプードル…80g/全卵…200g(M玉4個分)/ベーキングパウダー…2g/塩…2g/バニラシュガー…5g/レモン汁…30ml/レモンの皮…1/2個分/オレンジポーレ…85g/グランマニエ…適量/アプリコットジャム…適量

ガルニチュール(1台分)
オレンジポーレ…80g/グランマニエ…20g

グラスアロー(1台分)
粉糖…200g/グランマニエ…20g/水…30ml

ソース・ジェローム(作りやすい分量) 
パッションフルーツのピュレ…200g/生クリーム(乳脂肪分42%)…240ml/ミルクチョコレート(ここではヴァローナ社のフェーブ・キャラメリアを使用)…180g

仕上げ用
バニラアイスクリーム…適量

作り方

  1. 薄力粉、アーモンドプードル、ベーキングパウダーを合わせ、ふるっておく。
  2. ボウルに発酵バター、塩、バニラシュガーを入れて、やわらかくなるまでよく練る。
  3. 粉糖も加えて白っぽくなるまで混ぜたら、溶いた全卵を少しずつ混ぜながら加える。
  4. 完全に混ざったら、1の粉類を一気に加えて、さっくりと混ぜる。粉気がなくなったら、レモン汁、細かくきざんだレモンの皮、オレンジポーレ、グランマニエを加えて、均一に混ぜる。
  5. 型に流し込み、あらかじめ180℃に温めておいたオーブンで45 分焼き、冷ます。
  6. ガルニチュールを作る。オレンジポーレとグランマニエを合わせて、ミキサーにかける。
  7. 5の生地が冷めたら、型から外し、横3枚にスライス。間に6のガルニチュールを塗っていく。
  8. 表面に温めたアプリコットジャムを塗り、手に付かなくなるまで乾かす。ボウルに、粉糖、グランマニエ、水を入れてよく混ぜ、グラスアローを作る。これをジャムの上からかけて、200℃に温めておいたオーブンで30 秒間乾かす。
  9. ソース・ジェロームを作る。ボウルにミルクチョコレートを刻んで入れておく。鍋にピュレと生クリームを入れ、火にかける。沸騰したら、チョコレートに流し込み、溶かしながら混ぜて乳化させる。鍋に戻して弱火にかけ、とろみが出るまで少し煮つめる。
  10. 8の生地をカットして皿に盛り、バニラアイスクリームをのせる。その上から9の温かいソースをかける。

フロニャルド

仏リムーザン地方の郷土菓子で、ダークチェリーが入ったものは、クラフティーともいう。ゴロゴロと大きめのフルーツがたっぷり入るので、生地は粉もしっかり、生クリームも加えて、リッチに仕上げた。

材料(直径22cmの陶器製パイ皿1台分)

全卵(M玉)…4個/グラニュー糖…100g/薄力粉…100g/生クリーム(乳脂肪分42%)…225ml/牛乳…225ml/バニラのさや…1本/塩…ひとつまみ/フルーツ(季節のもの。写真はパイナップル)…500g/ヴェルジョワーズ・ブリュン(甜菜糖)…50g/無塩バター(型用)…少量/バニラアイスクリーム…適量/ミントの葉…少量

作り方

  1. アパレイユを作る。鍋に牛乳と生クリーム、さいたバニラのさやを入れ、火にかける。沸いたら火を止めて蓋をし、5分間ほどおいて、バニラの香りを移し、さやを取り出す。
  2. ボウルに全卵を入れ、塩、グラニュー糖を加えて、よくすり混ぜる。ふるっておいた薄力粉を加えて、練らないようにさっくりと混ぜる。
  3. そこにさらに1を加えて混ぜ、漉したら、アパレイユの完成。
    4.型に無塩バターを塗り、フルーツを並べる。 3を流し込み、あらかじめ180℃に温めておいたオーブンで30 分間焼く。
  4. 一度取り出して、表面にヴェルジョワーズ・ブリュンをふるい、オーブンに戻してさらに30分間焼き、粗熱を取る。
    6.フロニャルドをカットして皿に盛り、バニラアイスクリームを添え、ミントの葉を飾る。

齋藤優子、松野玲子=文 岡本 寿=写真

本記事は雑誌料理王国2012年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2012年8月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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