【レシピ付】現地のバルをそのまま再現したスペインバル「アウパ」


スペインに住んだ経験もあるオーナーシェフの松木彰秀さんが、日本でもスペインのようなバルを作りたいと考えてオープン。料理にも雰囲気にも日本流のアレンジを一切加えず、現地の趣をそのまま再現した。


例えばパエジャは一抱えもある大きな鍋で焼き、注文があれば取り分ける。メニューにない料理でも、できる場合は個別のオーダーに応じる。
あえて洗練させない、気軽で自由なスタイルが魅力のバルだ。

極めつけは、注文数1位の料理が「フライドエッグのせフライドポテト」という驚きの事実だろう。
「スペイン人にとってフライドエッグは、魂とも言われるほど大切な料理です。フライドポテトごとグチャグチャにかき混ぜて食べてください」と松木さん。こんな気どらない料理が信条だが、「唯一これだけは頑張っている」と語るのが「タラのクリーム煮詰め赤ピーマンのトマトソース」。2種のソースを使い、揚げたり煮込んだりと手間ひまかけた一品だ。「注文があればレストランっぽい料理もできますよ」と、松木さんは実力のほどを垣間見せる。

店内では本場スペイン語が飛び交う。
朝からワイン、夜でもコーヒーOK

在日スペイン人も認める本場流の気軽さを楽しんで

通りすがりではなくここを目指して来るお客が大半。メニューにはスペイン語も併記されている。
※料理、ドリンクともに税込価格。

「アウパ」のスタッフは4人中2人がスペイン人だ。留学生や出張で来日したビジネスマンなどスペイン人のお客も多く、店内ではいつもスペイン語が飛び交う。自身もスペイン語で会話をする松木さんが目指すのは「スペイン人が来ても恥ずかしくない店」。スペインの法改正に合わせて、店内を禁煙にしたほどのこだわりには脱帽する他ない。


サッカー選手のワイナリー製。ほのかにさわ
やかな柑橘系の香り。

朝からワイン、夜でもコーヒーと、自由に使えるバルはまさに本場そのもの。時にはスペイン人スタッフから「その料理はカトラリーではなくパンを使って混ぜて」などと声がかかることもあるが、ここでは気取らずざっくばらんに楽しむのが正解。肩肘張らずスペインの風に浸ろう。

【レシピ】タラのクリーム煮詰め赤ピーマンのトマトソース

スペイン西部の定番である手の込んだ詰め物料理。ベシャメルで煮込んだタラを赤ピーマンに詰めて揚げ、トマトソースで煮込む。炭火焼きの赤ピーマン「ピキージョ」は、日本では缶詰で入手可能。

材料(1人分)
赤ピーマン(炭火焼の缶詰)…2個/魚のブロード…50㏄/小麦粉、卵…各少量/塩、コショウ…各適量/パセリ(みじん切り)…少量
◦タラのクリーム煮(作りやすい分量)タラ…150ℊ/タマネギ…1/2 個/ベシャメルソース…200㏄/塩…適量
◦トマトソース(作りやすい分量)トマトホール缶…800㏄/タマネギ…1個(みじん切り)/セロリ、ローリエ、エストラゴン…各適量

作り方
1.トマトソースを作る。タマネギを弱火で色づくまでよく炒め、缶詰のホールトマトをつぶしながら加える。セロリ、ローリエ、エストラゴンを加えてさらに煮込む。

2.タラのクリーム煮を作る。タマネギのみじん切りを炒めて、タラを加えたらほぐしながら炒め合わせる。塩をきつめに加えてベシャメルソースを混ぜ、数時間冷やし固める。

3.赤ピーマンの空洞部分に2を詰める。小麦粉をまぶし、卵にくぐらせて揚げる。

  1. 1 のトマトソース50㏄を土鍋に入れ、魚のブロードでのばして火にかける。沸いたら3の揚げた赤ピーマンを入れて、ソースとからめる。220℃に熱したオーブンで15分焼き、パセリのみじん切りをふりかける。

松木彰秀さん
Akihide Matsuki

1979年長野県生まれ。学生時代のスペイン留学をきっかけにバル文化に開眼。スペイン人シェフが経営する名古屋のレストランや大阪の有名スパニッシュレストランで修業を積み、2010年「アウパ」をオープン。大阪で最もスペインを感じられるスポットとなっている。

アウパ
AUPA
大阪府大阪市西区北堀江1-6-12
四ツ橋中央ビル1F
☎06-6536-7557
●12:00~23:00LO
●火休
●アラカルト300円~
●32席
http://aupa-campe.com/

藤田アキ=取材、文 中西一朗=撮影

本記事は雑誌料理王国238号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は238号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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