日本料理にもメインを、日本料理でもジビエを。山本シェフは、日本料理に様々な可能性を求める。実際に龍吟ではコースにメインとしての満足感の出る肉料理が出てくる。それならジビエはどう扱うのか?
焼きあがった時、皮をパリッとさせるための新たなプロセスを発表。この画像はYou Tubeで見られる。「日本料理 龍吟 野鴨の炙り焼き2012」で検索。音声はなく、音楽と画像でセンスよくまとめられている。他にも12本、技術を公開している。
1.野鴨の羽を取り除く
無双網猟(網で取る)でとった鴨は傷がなく血も抜けていない、きれいな状態。届いたらすぐに羽をむしり、ワックスをとかして中に全体をひたして、氷水につけて引きあげる。
2.ワックスを破って毛をキレイに取る
ワックスでしっかりとかためられた羽は、卵の殻をむくように手ではがすことができる。しっかりとすべての羽をむく。はがせばワックスも完全にはがれている。
3.熱湯で皮だけに火入れする
今度はワックスが残っていないかをチェック。全体を鍋の湯にさっとつけて皮をパンと張らせる。シワがあると後に乾きムラがおこるので注意。
4.氷水につけて熱をとる
皮がたるまないように、氷水につけて表面を引き締める。熱湯の熱が身に伝わるより早く冷やす。
5.皮の表面をブラシでこすり、かわかす
表皮にある水鳥特有のろう状の膜を炙り、ブラシではがし取る。これをしないといくら干しても乾かない。
6.パートにわけてそれぞれ調理する
足をぬいて、モモをはずして、それぞれ下味をつけて用意しておく。身は表面の皮の部分に熱した油をかけてパリパリにする。その後、61度のオイルバスで約40分火を入れる。
7.串に刺して炭火で焼く
表面の皮がパリパリになるようにほどよい炭火に調整する。
8.最後に藁の香りをつけて
缶の中で米藁をかけて火をつける。1分ほど表面に香りをつけたら串からはずす。皮のパリパリを楽しめる大きさにカットして提供してくれる。この気配りが日本料理らしさだ。
犬養裕美子=取材、文 前田宗晃=撮影
本記事は雑誌料理王国225号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は225号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。