いつの間にか葉桜の季節。東京では、新緑から、日々、葉の色が濃くなっていて木々に生気が漲っているように見える季節になりました。先月発売された料理王国4月号は日本フレンチの110年にわたる変遷の特集。おかげさまで各方面から大好評をいただいています。完全保存版として編集しているので、フレンチに関わる料理関係の方にはぜひお手元に置いていただきたい内容になっていると思います。実はこの web版でも会員登録をすればご覧いただけるようになりました。今回のweb版の充実や、YouTubeの料理王国の料理動画チャンネルが登録者数13万人を超えたことを記念して、料理王国メディア部が主催する、第1回 料理王国ガラディナー @ガストロノミー〝ジョエル・ロブション〞というイベントを企画しました。4月27日(木)に。
日本人で初めて、というよりフランス人以外の外国人では初めてというフランス料理のM.O.F.を関谷シェフは受賞しました。本誌に詳細がありますが、M.O.F.とは、簡単に言えばフランス料理の人間国宝に選ばれたという感じの大変名誉なものなのです。その関谷シェフの作る特別料理をいただいてから、M.O.F.の試験風景などについてご本人から語っていただける貴重なイベントです。
「食品ロスを無くすことは、もともとフレンチでは当然のことで、さらに美味しくなければダメという考え方があります。M.O.F.の試験でも、1kgのオマールで8人分の料理と8人分のソースを作るという試験があり、余分なものを足さないで作れるかをテストされます。さらに、試験が終わると冷蔵庫の中が空になっているかどうかも確認されて、ロスが出ていたら減点されます」。
関谷シェフのお話は多岐にわたり、大変興味深く、あっという間に取材時間が終わってしまいました。10層のテリーヌを作った時の話では、厚さを5mmにそろえて重ねていって型に入れるはずが、6mmだったため、最後に型に入らずにやり直しになってしまったそうです。「僕は1ミリの違いにこだわる職人でありたい。アーティストではないので」というお話が印象的でした。それは挑戦ではなくて確認作業。高価な食材だから大切に扱うというのではなく、サラダの葉、一枚一枚に寄り添う。命をちぎっているので絶対に無駄にしないという考え方なのです。
さらに、試験の時に気がついたそうですが、フレンチではフライパンは使わない。みんな鍋でやるそうです。肉も鍋で焼く。鍋にどれだけ焦げる味がつくかまで考えているそうです。
基礎をしっかりやっていないと何もできないのがフランス料理の世界。M.O.F.を受賞して終わりではなく、ここから始まる。そうおっしゃる職人肌の関谷シェフの特別料理。ぜひ味わってみませんか? 興味のある方は、イベントの詳細をご覧ください。