編集のナナコです。近ごろの東京は雨が多いですね。みなさま、今週はいかがお過ごしですか??
5月6日に発売の料理王国6月号。その取材の中で、ぜひ皆さんに一度は食べていただきたい、また料理人の方にはぜひ一度使ってみていただきたい食材を見つけたのでご紹介します。
その食材とは、スペイン産最高級イベリコ豚の希少部位です。
そもそも料理王国では、欧州食材輸入のパイオニアである「アルカン」とタッグを組んで、伝統的なフランス食材について理解を深めながら、調理方法において新しい視点を探るため、連載「アルカンからの提案」を1年間続けてきました。
今までテーマになったのは、オマールブルーと呼ばれるオマール海老、フレッシュなオータムトリュフ、ヴォライユ(鴨や鳩)、フランス料理では王道のフォアグラ、希少価値の高い仔牛。そして今回は、少し寄り道して、フランスではなくスペインから、最高級イベリコ豚の生ハムや精肉を手がける「ホセリート」の、イベリコ豚希少部位をテーマにしました。
これを使って、軽井沢の「ブレストンコート ユカワタン」を率いる若きシェフ、松本博史さんが作ってくださった2皿が、本当に美味だったのです。
使用したのは、「セクレト」と「プルーマ」という希少部位。いずれも1頭から多くて数kgしかとれませんが、まるで牛肉のような力強い味わいと、上質な脂味が特徴。
希少部位ゆえに、その課題は、肉の厚さが薄いこと。フレンチレストランの肉料理といえば、肉にはある程度の厚みがないと調理がしづらく、またお客さんも、肉料理にはある程度のインパクトや満足感を求めるものですよね。
ユカワタンの松本シェフは、柔軟な発想で、手間暇をかけ、軽井沢のテロワールとも掛け合わせ、この課題を見事にクリアしてくださいました。
私が心から尊敬する料理人の1人、中華の名店「赤坂 桃の木」の小林武志さんが、以前こんなことをおっしゃいました。「一見、主役にはなれそうにない食材でも、その長所を捉えて主役にしてあげるのが料理人の仕事でもある」。
今回まさに“料理人の仕事”を間近で拝見したように思います。その全容は、6月号の連載「アルカンからの提案」でぜひチェックしてください。
現在の飲食業界には、輸送コストや環境負荷を考えて国内の食材を使う、という時流が確かにあります。ただ今一度、伝統的な欧州食材を学び直し、その進化と深化を探ってみると、新たな気づきが得られるかもしれません。今後の連載もぜひお楽しみに!