ここ数年でじわじわと人気が高まっているオーストラリア産テーブルグレープ。その輸出額は17年間で18倍にまで成長したというのでおどろきだ。今年4月にオーストラリア産テーブルグレープ協会が開いたランチ会に参加して、その特徴や魅力を学んだ。
まずテーブルグレープとは、その名の通り、食べるブドウのこと。なかでもオーストラリアのテーブルグレープは、温暖な気候と豊かな土壌に育まれ、その品質の高さが世界中で人気だ。
オーストラリアではビクトリア州を筆頭に、ほとんどの州で生食用のテーブルグレープが盛んに作られている。国土の北側では主に国内消費用のブドウを作り、11~1月に収穫期を迎える。一方で、南側では輸出用を作り、収穫時期は3~5月。今年は春の気温上昇がゆるやかだったので、ブドウの育成が遅れて、輸出用のシーズンは6月末ごろまで続く見通しだ。
オーストラリアのブドウ農家は、家族で経営しているケースが多い。ちなみにブドウ農家の数は約900。それぞれ個人差はあるが、平均すると1農家あたり約30ヘクタール、東京ドーム約6.4個分の広さの畑を持っているという。
世界的なブドウの輸出量の推移を見てみると、ここ10年間で23%成長している。その中でもオーストラリア産ブドウの躍進は顕著で、10年間で73%の成長を遂げており、輸出量は約8万トンから15万トン以上までに達した。
人気が高まるオーストラリア産ブドウ。もちろんそのまま食べても美味しいのだが、料理やスイーツにはどのようにとり入れたら良いのか。春のランチ会では、東京・恵比寿のガーデンプレイスタワー39階にある「SOUTH Australian Cuisine」の諏訪浩之シェフがその一例を見せてくれた。
1品目は「サーフ&ターフ」。これは海のものと山のものを組み合わせた料理のことを指すが、諏訪シェフはフレッシュな生牡蠣やサーモンマリネのパンケーキ、ズワイガニのタルタルといった魚介と、ラム肉のテリーヌや卵のピクルス、ライスコロッケなどを盛り合わせた。その中でブドウを使ったのはライスコロッケ。「イメージはイタリア料理のイチゴのリゾット。ブドウはミキサーにかけて、リゾットと合わせました」。
2品目は「皮つきもち豚のクラックリングポークグリル」。皮がカリカリになるように焼き上げたローストポークに添えられたサラダに、生のブドウが入っていた。また3品目のデザート「パブロバ」では、サクサクに焼いたメレンゲ生地にブドウの甘酸っぱいソースを上からかけて頂いた。
「日本のブドウは糖度が高くて香りも強いので、単体で食べたいイメージです。一方でオーストラリアのブドウは、甘さが控えめで、心地良い酸味があり、良い意味で“脇役”になれるので、料理に取り入れやすいと感じました」と諏訪シェフ。オーストラリアのブドウは、そのまま食べたり、ジュースやスイーツで使ったりするだけでなく、料理にとり入れる食材としても、まだまだ研究のしがいがありそうだ。