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どこまでも柔らかなあなたに包まれて眠りたい ~ダニエレ・カーソン氏のピザ生地~


料理王国6月号で皆さまに最新イタリアンの名店とその動向をご紹介すべく、連日、注目のファインダイニングでの撮影に同行しました。本誌に先駆けて、その魅力の一端をご紹介します。

料理王国6月号で皆さまに最新イタリアンの名店とその動向をご紹介すべく、連日、注目のファインダイニングでの撮影に同行しております。なかでも印象的だったのが、ピッツァ・デグスタツィオーネ(切り分けて少しずつ提供されるグルメピザ)が人気の「ピッツァバー on 38th」。マンダリンオリエンタル 東京の最上階、38階にあるイタリアンレストラン「ケシキ」の一角にある、8席だけのカウンター式ピッツェリアで、ガンベロロッソ社による格付けガイド「世界のトップ・イタリアンレストラン」2020年度版・ピザ部門で最高評価(世界で15店舗、日本では2店舗のみ!)を獲得した名店です。

エグゼクティブシェフのダニエレ・カーソン氏が手掛けるピザの特徴は、なんといってもその生地。2種類の生地はそれぞれ水分をたっぷりと含ませ48時間かけて熟成させたものだそうで、撮影中「触ってごらん」と言われ指先で触れてみると—-そのあまりの柔らかさにびっくり! ふわっふわっ、いや、ふぁっふぁっ、なのです。この生地に包まれて眠ってみたい—と、変な妄想にとらわれてしまうほどの心地よさに、うっとり。これが焼きあがると、食感実に軽やか〜なピザに変身するのです。

こちらがシェフの名前が持ち手の内部に記されているピザカッター。もちろん特注品です。
こちらがシェフの名前が持ち手の内部に記されているピザカッター。もちろん特注品です。

さて、そのピザの美味しさについては料理王国6月号本誌を見て頂くとして、もう一つ興味深かったのが、ダニエレシェフが使っていた2種類のビザカッター。一つ目は、木製の持ち手の先にマーブルのような模様が浮かぶ刃がついたもの。こちらは金属造形作家が手がけた特注品とのこと。もう一つは、持ち手の柄の内部にシェフの名前が刻まれているもの(写真)。柄の部分は透き通ったエルラルドグリーンの素材で、やはり丸い刃の部分には美しいマーブル模様。なんだか日本刀の刃文のようです。どちらもずっしりとした重量感があり、まるで工芸品のような存在感。

「弘法筆を選ばず」という諺には〝名人は道具の良し悪しに左右されない〟というものと、〝名人は(安いものでも高価なものでも)どんな道具でもその真価を発揮する〟という2つの意味があるそうですが、やはり、この場合は後者でしょうか。仕事道具にこだわる、プロフェッショナルの一面をちょっと覗き見た取材でした。

text:奥 紀栄 (料理王国編集部)

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