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旬の食物で体を癒し血を綺麗にする「赤坂璃宮」譚彦彬さん


日本の生薬も広州では料理の食材
旬の食物で体を癒し血をきれいにする

広東料理の故郷、広州は、気候が温暖なうえ海にも近いことから、四季折々の食材が豊富に手に入る。日本では生薬として流通しているナツメやオウギなども、中国では食材として売られているので安い。
「そのため中国の家庭では、医食同源の考え方が暮らしのなかにしっか
り息づいています」

夏は、体を冷やす冬瓜のスープをよく飲む。逆に、ナツメやリュウガンなどは体を温める食材。スッポンも滋養強壮の食材として有名だ。
「ですからこのスープを飲めば体が温まるし、夏の暑さで疲れた血を強くしてきれいな血を増やします」

春は、旬の野菜を蒸したり、煮込んだり……。そうした料理を食べることで、冬場に溜まった悪い血がきれいになると考えられているのだ。
「赤坂璃宮では、そういう料理を昔から出してきました。今に始まったことではありません」

しかし、ゲストのほうは変わった。
「これからの季節、例えばマニアックなお客様は、蛇のスープをリクエストされます。もちろん、それもちゃんと用意しています」

蛇は太くて毒性が強いほど滋養強壮や美肌効能が高いとされる。そのため毎年香港でハブやコブラを仕入れてくる。一方、近年の健康志向から、全体的に薄味にはなった。
「甘味のあるリュウガンは減らして他の食材を増やすなど、薬効は変えずに、日本の方の舌に合った料理を提供する工夫もしています」
「何でも食す」といわれる広東人には医食同源の思想が根づいている。

漢方薬入りスッポンの蒸しスープ

スッポンのぶつ切りと、リュウガンやナツメ、オウギなどを器に入れ、金華ハムの上湯を加えて約2時間蒸しただけのスープ。〝生薬"の香りが食欲を誘い、奥深い味わいに体が癒される。

夏には体を冷やす食材・冬には体を温める食材

「食べ物には体を温める性質と体を冷やす性質がある」という漢方の考え方がベース。夏は体を冷やし、体内の余分な熱を取るダイコン、ゴボウ、バナナなどを、逆に冬は、血行を促し体を温める山椒、唐辛子などを料理に使う。

「夏の暑さが過ぎ、寒くなるこれからの季節は、昔からスッポンのスープをよく出します」と話す譚さん。スッポンは滋養強壮作用があって、夏の暑さで疲れた体を元気にする効果があるといわれている。また、コラーゲンをはじめ、ビタミンやアミノ酸、カルシウム、鉄分なども豊富で美肌効果や血液サラサラ効果も期待できるという。

(左上から順に)

乾燥ヤマイモ

[疲労回復・健胃作用]
漢方では「山薬」と呼ばれる「温性」の食材。夏から持ち越した疲れや、気候の変化からくる秋の疲れや体調不良にもよいとされる。

リュウガン

[滋養・リラックス]
レーズンにも似たフルーツの果肉で、漢方では体を温める「温性」の食材。病中病後の体力回復にも力を発揮するといわれる。

ヒカゲノツルニンジン

[疲労回復・健胃作用]
漢方では「山薬」と呼ばれる「温性」の食材。夏から持ち越した疲れや、気候の変化からくる秋の疲れや体調不良にもよいとされる。

乾燥ヤマイモ

[疲労回復・去痰鎮咳作用]
キキョウ科の植物の根を乾燥させたもので、漢方では「温性」の食材。食欲不振や口渇、下痢、脱肛などにも効果があるといわれる。

金華ハム

[造血・消化機能促進]
遊離アミノ酸が多く、グルタミン酸は生豚肉の1.6倍、イノシン酸は4倍といわれる。スッポンのスープでは旨味成分として使用。

ナツメ

[肝機能改善・造血]
糖やリンゴ酸などを含むフルーツの果肉で、漢方では体を温める「温性」の食材。鎮痛、利尿、筋肉の緊張による疼痛などに用いられる。

クコの実

[滋養強壮・血糖降下作用]
ナス科の落葉低木の果肉。漢方では中間の「平性」の食材。肝機能の保護作用や老化防止などへの効果も期待されている。

オウギ

[利尿・強壮・血圧降下作用]
マメ科の植物の根で、漢方では「温性」の食材。肌表面の水毒をとる効果があるといわれ、浮腫や麻痺、疼痛などに用いられることもある。

Tan Hikoaki

1943年、横浜中華街生まれ。新橋「中国飯店」などの副料理長、ホテルエドモント「廣州」の料理長を経て、1996年9月に「広東名菜赤坂璃宮」のオーナーシェフとなる。2004年には「広東名菜赤坂璃宮銀座店」を開く。

赤坂璃宮銀座店
Akasaka Rikyu Ginza

東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル5F
☎03-3569-2882
● 11:30~15:00LO
(日・祝は16:00LO)
17:30~22:00LO
(日・祝は16:00~20:30LO)
●無休
●コース 昼3500円~、夜10000円~
●114席
www.rikyu.jp

山内章子=取材、文 小林大介=撮影

本記事は雑誌料理王国255号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は255号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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