【鶏好きが唸る銘店】「鳥つね自然洞」特上親子丼


上質の鶏肉と調味料を使い食べながら混ざる味わいに

創業90年の老舗、東京・湯島「鳥つね」の支店として「鳥つね自然洞」が神田末広町界隈に店を構えて約20年。佐々木久哉さんが店長となったその頃から流通網が発達し、地方からも鶏肉が仕入れられるようになった。

比内地鶏や名古屋コーチンを使った親子丼「特上親子丼」は、同じ頃に佐々木さんが考案したメニュー。日々の入荷状況によって両者またはそのどちらかを使うが、いずれも卵を産む直前、脂ののった生後160〜180日の雌を仕入れる。上質な地鶏の味わいを生かすため、佐々木さんがめざす親子丼の仕上がりは、卵と鶏肉が混ざり過ぎず「食べ進むうちに少しずつ混ざってくる」状態。そのためには質がよく旨味の濃い調味料を使う。割りしたは再仕込み醤油、3年以上熟成の本みりんと少量の砂糖を加えて作り、だしは加えない。卵の質も重要。黄身の味わいが濃い卵を選び、卵液をほとんど溶かずに使う。卵への火入れを短時間に抑えるため、鶏肉を薄くそぎ切りにするのもポイントだ。

鳥つね自然洞
臭みのまったくない卵の中に上質な地鶏のやわらかな食感が調和する。だしを入れないたれの後味も爽やかでもたつかない。

店長 佐々木久哉さんが伝授する「特上親子丼」

卵を溶きすぎないこと!

  1. モモ肉とムネ肉を合計で約80g使う。皮や筋を取ってひと口大にそぎ切りにしておく。
  2. 割り下は醤油1:みりん1:水1:砂糖ごく少量を煮立て、冷ましておく。
  3. 卵はLサイズ3個を使用し、箸で2~3度切るように混ぜる。卵は溶きすぎると黄身の味が薄まってしまう。
  4. オーダーが入ったら、2を煮立てて1を加えて火を通し、切りミツバを加え、3の溶き卵を加えて約50秒間煮る。
  5. ごはん約250gを器に入れ、4をのせる。

鳥つね自然洞
東京都千代田区外神田5-5-2
03-5818-3566
● 11:30~13:30LO、17:30~21:00LO
● 日祝休
● 昼 1000円~/夜 一品料理1200円~、コース6800円~


text : Yukako Ito /photo : Hiroshi Fushiki

本記事は雑誌料理王国第209号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第209号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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