ピッツァと南イタリアの魚介料理を2本柱に盛況を極める「ラ・バルカッチャ」。シェフの宮本一典さんは「ピッツァはあくまでも導入。うちへ来て魚介料理に親しんでいただくきっかけになれば」と語る。
自ら市場に出かけて素材を仕入れる魚介のスペシャリテは「海の生ハム」と呼ぶカジキの燻製だ。冷燻したカジキは、しっとりと水分を含む独特の食感で、なるほど凝縮された旨みが生ハムを思わせる。このカジキを乗せたオリジナルのピッツァ・ビスマルクは、メニューブックに載っていない隠れた人気メニュー
だ。魚好きならこっそりオーダーしてみたい。また「部位ごとに味が違うので、丸ごと一匹食べる楽しさを伝えたい」と、アクアパッツァなどのメイン料理も常時4〜6種ほど。
もう一つの柱であるピッツァは、軽い食感とシンプルなトマトソースのオーソドックスな味。それにシラスを乗せたチチニエッリは、最もここらしいピッツァといえるだろう。
南イタリアに惚れ込む宮本さんは、ワインもナポリより南の産地に限定する。13年にはソムリエの資格も取得。常時60種以上と、以前より品揃えが充実した。
ラ・バルカッチャ
La Barcaccia
大阪府大阪市北区豊崎3-5-17
06-6373-8181
● 11:30~14:00LO 18:00~22:00LO
● 火・毎月1回の不定休
● 27席
http://la-barcaccia.com/
藤田アキ=取材、文 中西一朗=撮影
text by Aki Fujita photos by Ichiro Nakanishi
「絶対に手ごね、これだけは譲れません」と優しいながらも鋭い眼差しで語るのは、「ポルタヌォーヴァ」のオーナー村上健太さんだ。
機械では感じとることができない、微妙な湿度や、粉の状態の違いを、自身の手で確かめ、微調整しながら生地を練る。そうすることで、粉の風味を最大限に活かし、口どけがいい生地ができあがる。1回30分かけてできあがる分量は、たったの15枚分。多くても2~3回が一日で限界だという。一番良い状態でしか提供したくないと、手ごねにこだわり、売り切れれば店を閉める。それでも親しみやすい値段にするのは、この味を求めて、通い続けてもらいたいからだ。そのゲストの笑顔を原動力に、村上さんは毎朝生地を練る。
ピッツェリア ナポレターナ ポルタヌォーヴァ
pizzeria napoletana PORTA NUOVA
06-6449-5688
大阪府大阪市西区靱本町1-16-19 メゾンダール1F
● 11:30~15:00 (LO14:00)17:30~23:00(LO 22:00)
● 火休
http://portanuova.jimdo.com/
料理王国=取材、文 中蔦仁己=撮影
「ピッツァイオーロは芸術家ではなく料理人」というのが林秀光さんの持論。ほぼ独学で研究し、初めて出場したナポリのピッツァ職人大会で入賞を果たしたのは、提供スピードやコスト、他の人が再現できる生地作りなど、飲食店としての姿勢を重視する点が評価されたためだ。
林さんが経営する「アレグロ」6店は、決して画一的なチェーン店ではない。立地や客層で内容を変える、個人店感覚が魅力となっている。
本格的な味をファミリーや年配層にも伝えたいとの考えから、イタリアから空輸の水牛モッツァレラなども惜しげなく使用する。下町が好きで、賑やかな店が好きな林さん。世界レベルの腕前が、初心者からイタリアン通までを魅了している。
トラットリアピッツェリア
大衆イタリア食堂アレグロ 梅田店
Allegro UMEDA
大阪市北区曽根崎2-14-7 グランデ曽根崎ビル1F
06-6367-4100
● 12:00~14:30(14:00LO)17:30~24:00(23:00LO)日祝~23:00(22:00LO)
● 無休
● ランチ1030円~、夜コース4500円~、アラカルトあり
www.restaurant-bank.jp
藤田アキ=取材、文 竹中稔彦=撮影
text by Aki Fujita photos by Toshihiko Takenaka
本記事は雑誌料理王国第246号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第246号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。