料理王国100選成功事例01:森のアスパラ

料理王国100選、2021年度の入賞商品である「森のアスパラ」。審査員からは「甘みがありフレッシュ感もあってよい。」(クリスチアノ:佐藤幸二シェフ)、「繊維感が少なく歯ごたえも良い。」(株式会社明治屋:山田規弘さん)といったコメントがあった。

料理王国100選、2021年度の入賞商品である「森のアスパラ」。審査員からは「甘みがありフレッシュ感もあってよい。」(クリスチアノ:佐藤幸二シェフ)、「繊維感が少なく歯ごたえも良い。」(株式会社明治屋:山田規弘さん)といったコメントがあった。
作っているのは株式会社A-nokerの安東浩太郎さんで、産地は佐賀県の有明海沿いにある太良町。もともとはサラリーマンをしていたが、この土地に惚れ込んで、ここに住むために何をしたらよいかを考えてたどり着いたのが農業であり、アスパラガスの栽培であった。
しかし、佐賀県は日本全国でも有数のアスパラガスの大産地。そんな中で新規就農の自分が普通に作っても面白くないし、借りることができたのも耕作放棄地だったところということで、徹底的にデータにこだわって栽培をしている。特に最初の3年間は9棟のハウスで全て肥料の使い方を変えるなど、様々な実験を経てデータを収集してきた。
目指したのはただただ「美味しい」アスパラガス。
実験を繰り返し、データを集めた中でたどり着いたのが、地元の竹崎かにの甲羅や牡蠣の殻を肥料に使った栽培方法だが、そうした「有機肥料」や「地元の」というキーワードが目的だったわけではない。
実際に2018年に佐賀県工業技術センターで行われた成分分析で「森のアスパラ」は外国産のアスパラガスと比べ、旨味の元となるアミノ酸のグルタミン酸がおよそ3.7倍、甘味を感じるアミノ酸であるアラニンはおよそ2.3倍という数値を記録した。また、苦みの元となるアルギニンは6倍以上も含まれていたが、こうしたバランスだからこそ「森のアスパラ」は卸先である東京のホテルやレストランの料理人たちから「甘い」ではなく「旨い」と言われるのである。

料理王国100選に入賞したのは2021年度。コロナ禍の前は6割を占めていた飲食店からの売上が激減する中で、まずはネット販売に貢献してくれたという。
ネット販売は、距離を問わず全国のユーザーが顧客になり得る一方で、ウェブサイト上の情報に頼るしかなく、さらにその情報も同じようなものが氾濫しているのが実際だ。また、事前に試食してもらうことも当然できない。そうした中で、料理王国100選入賞のバッジがあることが、類似商品との差別化や美味しさへの信頼、裏付けにつながったと言える。

2021年度の品評会

さらに現在は飲食店からの需要が戻りつつあり、新規のお店の開拓を進めているが、「料理王国100選入賞」が営業ツールとして成約に寄与しているとのことだ。
先のデータのような数字や見せ方も大事だが、食べて美味しいのが大前提。朝に収穫したばかりの「森のアスパラ」を鞄に詰めてそのまま飛行機に乗り、その日のうちにお店にそのままハンドキャリーで持って行き、その場で茹でて試食してもらうのだが、
1. まずこのように生産者自ら来てくれることが珍しい
2. 試食して美味しい
3. 料理王国100選入賞ということで他のシェフも評価している

という三段構えが必勝パターンだそうだ。

A-nokerはこのように、トップシェフたちが品評して高く評価したという料理王国100選での実績を、一般顧客への小売と飲食店への業務卸の両方で非常にうまく活用している事例である。

text:小林乙彦(料理王国編集部)

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