最近の天気予報では、時々、「今日は4月並みの暖かさ」という表現が聞かれるようになりました。今年も、いつの間にか3月初旬。東京では梅がほぼ満開で、いよいよサクラ前線がやってきます。身も心も季節と共に開放的になるこの時期に、料理王国4月号が発売されました! 「完全保存版・日本フレンチ110年史」という帯が表紙についています。
1910年(明治43年)、パリのホテル・リッツでエスコフィエに学んだ秋山徳蔵が帰国して、大正天皇の料理番になった年が1913年。料理王国4月号では、この年から日本フレンチの歴史が始まったと解釈して、日本フレンチ110年史を作成しました。1533年イタリアのメディチ家から、カトリーヌ・ド・メディシスがアンリ2世に嫁いで始まったとされるフランス料理。もちろんフランス料理のルーツに関しては諸説ありますが。その後、1789年のフランス革命で没落した貴族の館から、お抱えのシェフたちが町に出ることになりました。そして、1833年アントナン・カレームが「19世紀のフランス料理術」を刊行。彼はそれまでの強烈なスパイスをやめ、今でも使われる調味料、タイム、ローリエ、パセリを使ったとのこと。シェフの帝王とも言われます。1900年には、あのミシュランガイドが創刊。そして、1903年にオーギュスト・エスコフィエが「料理の手引き」を著します。800ページの本に収録された5000ものレシピは、過去の伝統に根ざしながらも新しい世紀にふさわしい料理として手直しされていました。今もこの本が料理人のバイブルとされている理由はここにあるとのこと。ということで、まずはフランス料理の基礎を学びます。詳しくは、本誌で。
4月号の表紙の帯にある完全保存版とは? 「フランス料理500年の基礎編」や、「日本のフランス料理が歩んできた道」などの歴史が掲載されているからなのですが、中でも、「日本フレンチの系譜」として4ページで紹介したシェフたちの顔写真入りの関係図。これを完全保存版と呼ぶことにしました。エスコフィエから始まる日本フレンチの系譜。実は2013年8月号の料理王国で掲載した系譜を加筆修正した大作なのです。もちろん、どこを残してどこを加えるのか? このシェフを入れるなら、こちらのシェフはどこに移動させるのか? などなど。実際、元本に修正を書き込んでデザインしてからも、校正が大変でした。顔写真が入っていたり、入っていなかったりするのは、デザイン上、仕方なく、さらに大小感がついてしまったのもデザイン上、仕方なくです。後から、あのシェフも! となったので、さらに大変でした。あのシェフの系列に入れないでほしい、とか、あの人の下ではない! とか。何度も試行錯誤を繰り返して完成。ぜひ、実物をご覧になってください。
今回は10年前の料理王国があったので、何とか系譜を完成させましたが、現在、グローバル化が進んでいる日本フレンチの系譜は、今後、誌面では収まりきらないほどの広がりを見せて行くでしょう。実は4月号の系譜もかなり悩んで完成させたもの。今後は、収まりきらない系譜を無理に収める必要もないし、ネット社会が進めば、全てが複雑に交錯していくので、今回のように単純な線で結べなくなるはず。ということで、この系譜は紙媒体に掲載される最後の系譜かもしれません。今後はweb版に系譜を載せて、都度、修正を重ねていければとも思っています。日本フレンチの過去、現在、未来。百聞は一見にしかず。まずは4月号、ぜひ書店で見つけてみてください!!