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パリで成功する日本人シェフ「レ・ザンフィン・ルージュ」篠塚大さん


毎日食べられる〝軽い〟ビストロ料理

確かな技で、現代の欲求を実現

パリの14区や15区といった郊外のビストロが今、賑わっている。その状況を分析し、篠塚大さんも、隠れ家的ビストロを開業。独立した。

酸味と香りで軽さをプラス
毎日食べられるビストロ料理

豚足の煮込みと根セロリのリゾットパイ包み焼き、
コック貝とニシンのキャビアを添えて

「肉と魚介を、瞬発的に合わせていくのは好き。ゼラチン質と貝はよく合うから」と篠
塚さん。ムースにして軽さを
演出している。

篠塚さんは、パリ・オデオンの「ル・コントワール」でスーシェフを務め、ビストロノミーの立役者イヴ・カンデボルド氏から長きにわたり薫陶を受けた。独立は2013年10月。準備期間に2年を要した。

「パリは居抜きがほとんど。潰して作り直さないので、気に入った物件を見つけるのに苦労しました」

3区の北マレ地区で出会ったのが、「レ・ザンファン・ルージュ(赤い服の子どもたち)」という名の元ビストロの居抜き物件。1500年代にこの地にあった孤児院の名を受け継いだといい、キッチンは狭いが、考えていた客席もとれて、カウンターもある。通りから一本入った静かで隠れ家的な立地も気に入った。
パリでも歴史ある場所で店を出すのだから、その歴史ごと引き継ごうと、店の名前もそのままにした。

店内に飾られている古地図。「LesEnfants Rouges」と書かれた孤児院があるのがわかる(地図中、赤く塗られた建物)。レ・ザンファン・ルージュは、長い歴史を持つビストロで、
過去に2人オーナーの手を経て、篠塚さんの手にわたったという。
3区マレ地区は、パリでも珍しい18世紀以前の建物が残る歴史的なエリアである。店の北側にはパリ最古のマルシェとされる、アンファン・ルージュの常設市場がある。レ・ザンファン・ルージュは、レストランガイド『ルベイ』のビストロ版で、2014年度のベスト・ビストロに選ばれた。

客は地元の住民が7割。映画やファッション関係などモード系の仕事に就く住民が多く、在仏外国人も多い。周囲に前菜・メイン・デザートで20ユーロ台の店が多いなか、レ・ザンファン・ルージュは40ユーロ。


それでも、連日パリジャンたちで賑わうのは、篠塚さんの料理の力だ。
「クラシックのずっしりした料理をベースにしながらも、柑橘の酸味や香りなどを加えて軽く仕上げる。今のパリで重さは嫌がられますから」

篠塚さんの「毎日食べられるビストロ料理」が、レ・ザンファン・ルー
ジュの新たな歴史を紡ぐ。

Dai Shinozuka

1978年北海道生まれ。2000年渡仏。サボア地方アヌシー「ル・クロ・デ・サンス」、ロワール地方トゥール「レ・リノット・グルマンド」を経て2007年からビストロノミーの立役者イヴ・カンデボルドの「ル・コントワール」でスーシェフを務める。
2013年10月独立。

レ・ザンファン・ルージュ
Les Enfants Rouges

9, rue de Beauce, 75003 Paris
☎+33 (0)1 48 87 80 61
●12:00~14:00、19:00~22:00
●火・水休
●昼30€(週末・祝は40€)、夜40€
●35席
www.les-enfants-rouges.fr

本記事は雑誌料理王国252号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は252号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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