〈できあがり分量約1ℓ〉
野菜 合計400g(蕪、大根、人参の皮、白菜の葉など残りの部分3~4種)
利尻昆布 20g
水 2ℓ
1.鍋に水、野菜、昆布を入れて沸かす。沸いたら中火にして煮る。アクは取らなくてよい。
2.煮汁が半分の量になるまで弱火で煮つめる。
3.目の細かい布で漉す。
野菜だし
日本料理が素材に向き合う姿勢として重要なことは、素材の特徴をできるだけ活かすということ。すべての素材は固有の味成分、香り成分、触感を持つ。味成分や香り成分が素材のどこに存在するかを理解することで、効率的に素材の特徴を強調することができる。土に埋もれている部分を食べる根菜類の皮は、土壌の微生物などから本体を守るために、さまざまなポリフェノールや香り成分を含む。大根や蕪などはアブラナ科植物のため硫黄化合物を含み、人参はセリ科植物のためテルペン類を含むので、それぞれ独特の香りがある。それらの皮でとっただしでそれぞれを煮ることで、大根や蕪、人参の香りを強く感じさせることができる。皮にはうま味成分があまり含まれていないので、皮でだしをとるときは昆布とともに煮るとよい。根菜自体には、甘味成分である糖が多いので、根菜でとっただしは甘味と香りを持つだしになる。近年は、素材の質が向上しているため、鰹節の香りが強い一番だしを使うより、野菜だしを用いることで、素材そのものの特徴を強調することが多くなってきている。
日本料理アカデミー監修「日本料理大全」シリーズは経験や勘に頼るのではなく、なぜこの味が生まれるのか、どうしてこの調理法になるのか、といった根拠や科学的な理由などを学ぶことで、料理人が考え、取り入れ、オリジナルの料理を生み出す手助けとなることを目指す。 全6巻は順次発売。「だしを学ぶ」は、第2巻「だしとうま味、調味料」から一部を抜粋し、二宮くみ子氏、川崎寛也氏の文章をもとに再構成して紹介しました。
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本記事は雑誌料理王国318号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は318号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。