レシピ本大賞決定!革新的なレシピ本「カレンの台所」


9月7日の料理レシピ本大賞の発表会はとても感動的なものになりました。料理部門大賞を受賞した「カレンの台所」の著者、滝沢カレンさんが感激のあまり涙を流され、ここまで喜んでいただけるとは、主催者として苦労が報われる思いでした。発表会式の様子はこちらからご覧になれますが、別居を機にレシピ本を書かれた方もいれば、同棲を機にレシピ本を書かれた方もいて、レシピ本は人生を表していると言ってもいいのではないかと思いました。

見事大賞を取った「カレンの台所」ですが、ページを開くとびっくりさせられます。レシピの本であれば、じゃがいも何個、しょう油大さじ何杯と書いているのが普通ですが、この本にはそれが出てきません。レシピというより、まるでポエムのような文章です。

本当にこれで料理が作れるのか、試しにこの本で肉じゃがを作ってみることにしました。ちなみに私は肉じゃがを作るのはこれが生まれて初めてでした。

野菜やお肉の量は書いていないので、適当に用意して作ってみると、本当においしく出来上がるのです。具材の量は、人によってお肉が多めが好きだったり、ニンジンがちょっと苦手だったり、好みがあるので、量が書いていないのはある意味理にかなっています。それでいて味もしっかり決まるのですが、書いてあるのはたったひとつのポイントです。それが何か?気になる方はどうぞ本書を書店にてお買い求めください。レシピ本は人によって好みがありますので、書店店頭で中身を確認してからお買い上げいただくことをおすすめします。

今までになかった料理本

滝沢カレンさんが著名人だから賞が取れたのか、とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、本屋大賞を見ても、意外と著名人の方は大賞をとれていません。200万部のベストセラーになった又吉直樹さんの「火花」も本屋大賞では10位です。料理レシピ本大賞も本屋大賞と同じく書店員の投票で決まるので、著名人ということは必ずしも有利に働きません。

ではなぜ今回大賞を取れたのかと言えば、やはりこの本の料理レシピ本としての独創性にあったのではないかと思います。投票した書店選考委員のコメントを見ても「料理にはこのくらいのユルさが必要」「新しい料理本の世界観がある」「料理が少し苦手な方でも、読むだけで料理が楽しくなる」という言葉がありました。新たな料理本の世界を作り上げた滝沢カレンさんの受賞を、心より祝福したいと思います。

カレンの台所
滝沢カレン 著
サンクチュアリ出版

一般社団法人 料理レシピ本大賞実行委員会 
委員長 加藤 勤
書店のブックスタマなど複数の会社を経営。レシピ本の賞の中で最も権威があり全国の書店で展開されている、料理レシピ本大賞の実行委員長を務める。昨年料理部門の大賞を取った「リュウジ式 悪魔のレシピ」は20万部のベストセラーとなる。


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