World News NY:かつてマンハッタンにあった魚市場が華麗なるフードホールに変身

多文化が共生するアメリカの大都市ニューヨーク。 2005年までロウアーマンハッタンの埠頭にあったアメリカ最古の魚市場が、再開発を経て、食のホットスポットとなり賑わいを見せている。

多文化が共生するアメリカの大都市ニューヨーク。世界の最先端を行くこの街で活動するライター&プロデューサーの小松優美さんが、美食の最新情報をレポート。2005年までロウアーマンハッタンの埠頭にあったアメリカ最古の魚市場が、再開発を経て、食のホットスポットとなり賑わいを見せている。

その昔、マンハッタンに魚市場があったのをご存知だろうか。「フルトン・フィッシュ・マーケット」は1822年に始まり、2005年まで金融街に近いロウアーマンハッタンの埠頭にあったアメリカ最古の魚市場だ。北のブロンクスへと移転した今も、豊洲に次ぐ規模を誇る市場として知られているが、その歴史的跡地が新たな食のデスティネーションとして再開発された。
およそ8年の歳月をかけてお披露目となったこの「ティン・ビルディング」は、ニューヨークきってのスターシェフ、ジャン・ジョルジュ・フォンガリヒテンが監修したフードホールだ。人気デザインスタジオ「ローマン&ウィリアムズ」がリノベートした築120年近い建物は、モザイクタイルに大理石、真鍮といった素材を多用し、デパートやホテルのインテリアのような華やかさが充満している。市内にはすでに幾多のフードホールが存在しているが、こちらはシェフのブランド力を見せつけた高級路線といえるだろう。

「ティン・ビルディング」内のシーフードバー「フルトン・フィッシュ・カンパニー」ではフィッシュ&チップスやロブスターを提供。
「ティン・ビルディング」内のシーフードバー「フルトン・フィッシュ・カンパニー」ではフィッシュ&チップスやロブスターを提供。

三階建ての館内には、6つのレストランと6つのショップが集結。一階にはブラッスリーやワインバーのほかベーカリーに精肉店、チーズショップやデリショップを設け、日本の“デパ地下”やパリの「ボンマルシェ」を彷彿とさせる。

その一方で、突如として和を意識した12席の寿司レストラン「シック」もあるほか、二階にはプラントベースにイタリアン、タコスショップに加えて、チャイニーズのファインダイニングもある。

いい意味でも悪い意味でも、“何でもあり”の国際色豊かなラインナップはまさにニューヨークらしさの表れだが、アジアの食材を集めたショップでは質の良い日本ブランドの麺類や調味料を揃えていて、そのキュレーションの審美眼は確かだ。また、オリーブオイルや紅茶、キッチン用品を集めたコーナーも独自のセレクトが楽しく、他の地元のライフスタイルショップとの差別化が光る。

ブラッスリーやカフェなど気軽な店も多く、気分に応じて訪れることができる。
ブラッスリーやカフェなど気軽な店も多く、気分に応じて訪れることができる。
ブラッスリーやカフェなど気軽な店も多く、気分に応じて訪れることができる。

ニューヨークが貿易港として栄えた歴史を保存した地区、サウス・ストリート・シーポートの一角とあって、観光客を誘致するにはうってつけのロケーション。

観光地としての色が強いため、逆にニューヨーカーにとってはデスティネーションにはなりにくかったが、近年界隈には有名シェフのレストランを集めた開発が進んでおり、ニューヨーカーの客をどれだけ増やせるかが今後の成功の鍵となりそうだ。

World News NY:かつてマンハッタンにあった魚市場が華麗なるフードホールに変身

TIN BUILDING
96 South Street New York, NY 10038
https://www.tinbuilding.com/

text:小松 優美

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