UK最高峰シェフ&ソムリエが創作に挑む新星「トライヴェット」

イギリス国内で長らくミシュラン三つ星レストランとして君臨する「ファット・ダック」で、トップを極めたシェフ&ソムリエ・コンビが独立。新章を刻み始め、今アワードが押し寄せている。

イギリス国内で長らくミシュラン三つ星レストランとして君臨する「ファット・ダック」で、トップを極めたシェフ&ソムリエ・コンビが独立。新章を刻み始め、今アワードが押し寄せている。

イギリス国内のミシュラン三つ星レストランは、現在のところ8軒。中でも世界的な地名度を誇るのが、ロンドンから車で約50分の場所にあるヘストン・ブルメンタール氏のファット・ダックだ。ヘストンさんと言えばイギリスにおける分子ガストロノミーの第一人者として知られるが、彼の厨房に12年に渡って貢献し続け、最終的にファット・ダック・グループのエグゼクティブ・ヘッドシェフとして厨房を指揮し、実質的なブレーンとしての役割をこなしてきたのが、カナダ出身のジョニー・レイクさん(Jonny Lake / 冒頭写真)である。

2019年11月、ジョニーさんが周到な準備の末、同じくヘッド・ソムリエとしてファット・ダックを支えてきたトルコ出身のイサ・バルさん(Isa Bal)とともにオープンしたレストランが、Trivet / トライヴェット。つい先日、ロンドン南東部にある美しく風通しの良いレストランを訪れてきた。

ロンドン・ブリッジ駅のすぐ近くにあるTrivetは、近代的なビルの1階にある。
ロンドン・ブリッジ駅のすぐ近くにあるTrivetは、近代的なビルの1階にある。
ロンドン・ブリッジ駅のすぐ近くにあるTrivetは、近代的なビルの1階にある。

Trivetではテイスティング・メニューはなし。アラカルトで各コース5種類の皿を提供している。名物の「Drunk Lobster」を含め、ここの特徴はジョニーさんの大好きな日本の食材が大きな役割を演じていることだ。例えばこの酔いどれロブスターでは、ソースは丁寧にとられた上質の昆布出汁がベースとなっており、さらには日本酒もふんだんに。隠し味は自家製の柚子ポン酢と白味噌。デザートのシグニチャーである「Hokkaido Potato」ミルフィーユは、かつてシェフが訪れた北海道のジャガイモ文化にインスパイアされ、パイ生地にローストしたジャガイモの皮が練り込んである。その香ばしい生地の間から、芳醇な日本酒の香るホワイトチョコレート入りクリームが、夢見るようにこちらを覗いている。

日本の食材は、今やこの国のレストラン厨房では大人気。すっかり定着している。 イギリスのシェフたちは日本古来のUmamiに夢中なのだ。

軽く燻したシーバスとミナミホウボウに、カラフルなインゲンを添えて。アクセントはサックリ美味しいキヌアのクラッカーと、トーストした大麦のトッピング。
軽く燻したシーバスとミナミホウボウに、カラフルなインゲンを添えて。アクセントはサックリ美味しいキヌアのクラッカーと、トーストした大麦のトッピング。
ジョニーさんが心を込めて作る「酔いどれロブスターの和風ビスクソース」。部位によって火通しのタイミングを変えるロブスターは完璧。
ジョニーさんが心を込めて作る「酔いどれロブスターの和風ビスクソース」。部位によって火通しのタイミングを変えるロブスターは完璧。
塩蒸しした大型カレイ(タルボット)に小型ズッキーニを添えて。バターソースの程よい酸味はシャルドネから。
塩蒸しした大型カレイ(タルボット)に小型ズッキーニを添えて。バターソースの程よい酸味はシャルドネから。

誰も考えつかないような素材の組み合わせに常に魅了されているジョニーさんの料理は、誰も知らない地域のワインにさえ精通するソムリエ、イサさんが選ぶ陰影のあるワイン・セレクションによって完成する。450銘柄を載せるワインリストを見せてもらったが、さながらアートブックだ。ファット・ダック時代からイサさんは国内でもトップ10に入るソムリエと謳われていたが、先日、ついにミシュラン・ガイドのUKソムリエ・アワードを受賞。押しも押されもせぬトップソムリエとなった。

このコンビがパンデミックを乗り越えた今年、 Trivetとして初ミシュラン一つ星を獲得し、喜びの春を迎えた。UK最高峰シェフとソムリエの最強コンビが作り上げるTrivetは、その長い旅路の幸先良いスタートを切ったばかり。「地元の人に気軽に足を向けてもらえるレストランであると同時に、遠方からも来てもらえるような店にしたい」。そう言うジョニーさんの目が優しく輝いていた。

Trivet
https://trivetrestaurant.co.uk

日本酒が芳醇に香る「Hokkaido Potato」は必食。
日本酒が芳醇に香る「Hokkaido Potato」は必食。

text・photo:Mayu Ekuni 協力:英国政府観光庁

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