奥田政行シェフの「アル・ケッチァーノ」鶴岡本店が移転&ニューオープン!

山形・鶴岡の本店を拠点に、各地の直営店やプロデュース店で庄内の豊かな食材を使った料理を提供し続けてきた、奥田シェフ。その原点である本店が7月7日、場所を変え新たにオープンしました。田圃の向こうに霊峰・月山を望む新たな場所で、奥田シェフの次なる挑戦が、始まります。

山形・鶴岡の本店を拠点に、各地の直営店やプロデュース店で庄内の豊かな食材を使った料理を提供し続けてきた、奥田シェフ。その原点である本店が7月7日、場所を変え新たにオープンしました。田圃の向こうに霊峰・月山を望む新たな場所で、奥田シェフの次なる挑戦が、始まります。

2000年のオープン以来、江戸時代から作られてきた在来野菜や庄内浜の魚介など、庄内産食材の魅力を最大限に生かす料理を提供し続けてきた「アル・ケッチァーノ」。〝地産地消〟や〝ファームトゥテーブル〟という言葉が一般化するずっと前から、奥田シェフは生産農家との繋がりを第一に考え、地元食材を主役に据えた料理を作り続けてきました。

7月7日、22年間営業を続けてきたその本店(鶴岡市下山添)が、同じく鶴岡市内(遠賀原)の別の場所に移転し、新たなスタートを切りました。

新店舗をオープンした奥田政行シェフ。
新店舗をオープンした奥田政行シェフ。

6000㎡の敷地には、レストラン棟とアカデミー棟の2棟が誕生。レストラン棟には田圃の向こうに月山の美しい山容を望むダイニングがあり、奥田シェフが20年来共に歩んできた約40軒の生産農家から届けられる季節ごとの野菜、野生の山菜、地魚などを地元ワインと味わうコース料理が楽しめます。
また、その厨房の隣には「肉研究室」「魚研究室」「植物研究室」「味・温度研究室」と名付けられた食材加工室が併設され、地元農家から持ち込まれる食材を加工・商品化するラボ機能も有しています。

「研究室はスタッフの勉強の場でもあるし、地元生産者を支える場所でもある。ここで生まれた加工品を全国の直営店やプロデュース店で販売することで、生産農家の人たちが安心して作物を育てられるでしょう?」と、奥田シェフ。

そもそも、鶴岡本店のほか各地に店舗を増やしていたった背景には、生産農家を支えたいという強い思いがあったと、奥田シェフはいいます。
「2002年に無登録農薬問題が起きたとき、山形の食材が全く売れなくなったんです。結果的に、生産農家に自殺者まで出てしまった。その時、これは自分で販路を作るしかない、食材を自らの意思で使える場所を増やすしかないと思った」
今では、例えば1トンの人参が持ち込まれたとしても数日で使い切れるだけの場所があると、奥田シェフは笑います。

月山を望むレストラン棟のダイニング。

さらにこの新店舗には、今まで以上に生産者の方やその食材を身近に感じられる仕組みを作ったと、奥田シェフは言葉を続けます。

「隣のアカデミー棟には、キッチンとブロジェクターを備えた料理教室ができる場所を作りました。料理教室付きの食材探訪ツアーなんかの体験旅行ができるでしょう? 観光バスが3台入れる駐車場は、そのためのものなんです。いろんな形で地元の人たちが参加し、一緒に庄内を元気にしていきたい。僕の第一ステージは、庄内の食材の素晴らしさを料理を通じて知ってもらうことでした。第二ステージは、そうした食材を安心して作り続けてもらえる場所を増やすことでした。そしてこれからは、全国からここ庄内に人が集まり、集まった人も生産者もみんなが幸せになる仕組みを完成させることが目的です。僕が死んでもこの店は残る(笑)から、その後もずっと素晴らしい生産者が代を重ねていけるようにしたい」
料理教室の隣には、カウンター10席だけのシェフズテーブルも新設されました。ここでは、ゲストと奥田シェフが会話を楽しみながら食材の魅力を分かち合う時間を過ごすことができます。

シェフズテーブルと料理教室を併設するアカデミー棟。
シェフズテーブルと料理教室を併設するアカデミー棟。
カウンター10席のみのシェフズテーブル。
カウンター10席のみのシェフズテーブル。
キッチンとプロジェクターを備えた料理教室スペース。
キッチンとプロジェクターを備えた料理教室スペース。

7月5日、オープンに先立ち地元メディアや関係者を招いて行われたレセプションでは、シェフが作り続けてきたシグネチャーメニューに新作を交えたショートコースが提供されました。舟形産マッシュルームのクリームをシュー生地に詰めたアミューズから始まり、トマト、モロヘイヤ、セロリのケッカーソースをまとった遊佐の岩牡蠣、ナッツを思わせる濃厚なだだちゃ豆のプラリネでいただく新鮮なロメインレタスと蟹、羽黒産ラムのローストには、山形の郷土料理「だし」をアル・ケッチァーノ風に再構築し、7種類の野菜を塩のみで和えた「だし」が添えられていました。パスタ以外は全て庄内産食材で作られたものばかり。力強い食材の味がダイレクトに伝わるシンプルかつ奥深い味わいの料理に、ゲストの顔も綻んでいました。

生ハムを巻いた月山筍のフリット。
生ハムを巻いた月山筍のフリット。
わさびのパンナコッタが入った庄内産とうもろこしのスープ。
わさびのパンナコッタが入った庄内産とうもろこしのスープ。
松毬揚げした甘鯛のリゾット。
松毬揚げした甘鯛のリゾット。

「この土地自体は、15年前に購入していたんです。オーベルジュをやりたいなぁと思っていたんですけど、震災があって予定は中止に。そろそろと思ったらコロナでまた頓挫。この2年間、コロナの影響で生産者はもちろん。バス会社や旅行会社など、いろんな人が苦しい思いをしました。そんな人達を元気にしたい、みんな一緒に元気になるためのお店にしたいと思っています。年間200万人が鶴岡を訪れるようになることが、夢ですね」

農家の離農を防ぐため、その年収を上げようと積極的に食材の販路を作ってきた奥田シェフ。料理は、食材を作る人々から始まっている—シェフの言葉からは、そんなメッセージが伝わってきます。奥田シェフの新しいステージへの挑戦が、今、始まります。

■問い合わせ先
アル・ケッチァーノ
山形県鶴岡市遠賀原稲荷43
TEL:0235-78-7230
https://alchecciano.com

text:奥 紀栄 (料理王国編集部) 、photo : Yuta Fukitsuka

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