料理王国8月号は、リゾート気分満載のオーベルジュ特集!

編集長の野々山が、料理王国8月号(7月6日発売)の見どころを、編集こぼれ話として紹介。今回は6日発売の8月号の表紙になったオーベルジュ、蓼科高原のエスポワールの話。

編集長の野々山が、料理王国8月号(7月6日発売)の見どころを、編集こぼれ話として紹介。今回は6日発売の8月号の表紙になったオーベルジュ、蓼科高原のエスポワールの話。

8月号の表紙は、蓼科高原のオーベルジュ、エスポワールの自家製シャルキュトリーのひと皿。特集は7店のオーベルジュの紹介です。いつもは東京に取材が集中するのですが、今回は、岩手、石川、長野、滋賀、奈良といった各県の地方の取材が中心でした。オーベルジュは、宿泊施設を兼ね備えたレストランのことで、ホテルにレストランがある宿泊中心の施設や温泉旅館とは意図が少し違います。地方の食材に惚れ込んで、レストランを作り、宿泊施設も作ってゆっくり食事を楽しんでもらいたい、というシェフの想いが形になったものがオーベルジュと呼べるものではないでしょうか。

オーベルジュの楽しみの一つは、都会の喧騒から離れた場所でいただく食事。地元だからこそ味わえる食材の数々に出会うこと。そして、朝食も気持ちの良い高原や湖や海のそばでゆっくりいただくこと。地産地消の観点からも、地元の食材を研究して料理に活かしているシェフたちは、まさに地元の名士。生まれ育った場所ではなく、出会った場所に惚れ込んで、少しずつ地元に溶け込む努力を重ねて馴染んでいく。そんな興味深い7店の話をさまざまな角度から聞き出している特集です。

周りを山々に囲まれた蓼科高原。八ヶ岳が綺麗に見渡せる。
周りを山々に囲まれた蓼科高原。八ヶ岳が綺麗に見渡せる。

オーナーシェフの藤木さんは、7年半の修行期間と1年の準備期間を経て1998年にエスポワールをオープン。当初は、両親が購入していた土地でペンションを始める予定が、20歳の時に訪れたフランスのオーベルジュに感動して、自分もオーベルジュをやろうと決意したそうです。

始めた頃は、思うように地元の食材が手に入らなかったり、せっかく手に入れたほうれん草をバターでソテーしても、地元農家でお婆さんが作ったほうれん草のおひたしの方が美味しかったりしたため、食材の研究と料理の相性を研究したりと、地道な努力を続けたそうです。ジビエは骨から外して焼くと身が縮んでしまうとか、カモは、渡ってきたすぐの頃は痩せているので、12月10日前後が美味しいとか、地元ならではの発見が、ここの料理に生かされています。

以前、駆除のため仕留められた鹿が穴に埋められている現場を見て、これじゃいけないと思ってジビエ協会を作って、ルール作りに奔走した藤木さん。今でも、まだ知られていないジビエは全国にあると教えてくれました。興味の尽きない地元食材とジビエの話は、8月号で。そして今年の夏は、夏キノコを食べにエスポワールにぜひお出かけください。パリのトゥールダルジャンをイメージして作ったという地下のワインセラーも見どころの一つです。

高原の空気は爽やかに澄んでいました。こんなテラスで優雅な食事をしてみてはいかが。
高原の空気は爽やかに澄んでいました。こんなテラスで優雅な食事をしてみてはいかが。
建物の地下のスペースを利用して作ったワインセラーは、後から作ったので、大工さんから入口はレジ横のここしかできないと言われてしまったそうです。
建物の地下のスペースを利用して作ったワインセラーは、後から作ったので、大工さんから入口はレジ横のここしかできないと言われてしまったそうです。
パリのトゥールダルジャンをイメージして作ったというワインセラー。2500本以上のワインが眠っています。
パリのトゥールダルジャンをイメージして作ったというワインセラー。2500本以上のワインが眠っています。
ボトルも備品も、いい感じにエイジングされています。
ボトルも備品も、いい感じにエイジングされています。
庭には、パンを焼くための窯や、燻製室もあります。
庭には、パンを焼くための窯や、燻製室もあります。

text・photo:野々山豊純

関連記事


SNSでフォローする