編集長の野々山が、料理王国8月号(7月6日発売)の見どころを、編集こぼれ話として紹介。今回もオーベルジュ特集の中から、滋賀県の「SOWER(ソウアー)/ロテル・デュ・ラク」の取材秘話。オーベルジュならではの美味しい朝食をご紹介。
前回ご紹介した奈良県の「オーベルジュ・ド・ぷれざんす」に続いて、今回は、滋賀県の「SOWER(ソウアー)/ロテル・デュ・ラク」のお話。いつもなら、自分で撮影した写真と文章が続きますが、残念ながら今回も伺っていないので、前回同様、滋賀県の取材をお願いした、渡辺さんの文章と、本誌では紹介していないカメラマンの村川さんの写真でお届けします。
本誌ではスペースの都合上、残念ながら大きくお見せできなかった「SOWER(ソウアー)」の朝食をこちらでぜひともご紹介したく。
「ディナーをしっかり召し上がっていただいたので、朝はあまりご負担のないものをご用意しました」という言葉と共に提供されたのは
・本日の飲み物
・季節野菜のスープ
・グラノーラ、水切りヨーグルト
・季節野菜のタルティーヌ、パネッレ、サラダ
・食後の飲み物
飲み物はアドベリージュース。アドベリーとは、日本では珍しいボイセンベリーのことで、地元・安曇川(あどがわ)町の特産品として地名にかけた名前がつけられたそう。さわやかな酸味で身体が目覚めていきます。
温製スープやタルティーヌは野菜が主役。とくにタルティーヌは、焼いたりゆでたりと個別調理された野菜各種で、シンプルながらていねいに作られていることが伝わってきます(パンも自家製で、かむほどにうま味が広がって美味)。
思わずニンマリしてしまったのは、ヒヨコ豆の異国料理コラボ。ヒヨコ豆の粉を水で煮て生地を作り、カットして油で揚げる、シチリア料理のパネッレを、ヒヨコ豆と練り胡麻、オリーブオイル等でペースト状にする中東料理フムスにディップして食すのです。
シェフのコールマン・グリフィン氏いわく、
「印象に残る体験をしていただきたくて、ユニークな朝食にしようと決めました。今後はまた違うものを提供するかもしれませんが、常にその思いでメニューを考えます」。
動物性のものはポーチドエッグと乳製品くらい。たしかに重苦しくならず、けれども満足感は充分。食後のコーヒーはテイクアウトカップに入れていただき、それを片手に広い敷地を散歩。あちらこちらから聞こえてくる鳥の鳴き声を、「ツーツーピーはヤマガラ、チチッチチッはホオジロね」と、案内図で確認したりして、オーベルジュ宿泊体験の余韻を楽しみました。
以上、渡辺さんのこぼれ話、いかがでしたか。
オーベルジュの魅力は、なんと言っても、美味しい夕食をいただいたら、そのまま部屋に帰ってくつろげることですよね。
でも、オーベルジュの魅力はまだあります。
それは今回ご紹介した朝食です。
実は、今回のオーベルジュ特集でも朝食まで紹介しようと思いましたが、全てのオーベルジュの取材が朝食までできたわけではなかったので、残念ながら夕食だけのご紹介になった地域がありました。
周りの景色や爽やかな朝の空気を楽しみながらいただく地産地消の朝食は、夕食とは違った贅沢な味わいがあります。渡辺さんの文章と村川さんの写真を見ていたら、琵琶湖畔の爽やかな風を感じているような気分になりました。これからまだまだ暑い日が続きますが、涼を求めて、8月号の本誌と合わせて、渡辺さんの文章と村川さんの写真をお楽しみください。本誌で紹介出来なかった客室やレストランの写真も是非ご覧ください。
original text:渡辺由美子 photo:村川荘兵衛