日本酒の最新潮流は、ソムリエに選んで欲しい日本酒


編集長の野々山が、料理王国4月号の見どころを、編集こぼれ話として紹介する美味日記。日本酒特集の制作秘話をご紹介します。

桜前線は、新潟、長野、仙台あたりまで進んで、いよいよ今週は東北北部も満開間近といったところでしょうか。東京では、イチョウの新緑が眩しく目に飛び込んでくる季節になりました。桜のあとに咲き出したハナミズキの白い花も桜とは違った可憐さがあっていいものですね。もうすぐGW。コロナ禍で縮んでしまった気持ちや消費がこの爽やかな季節に誘われて、どーんと伸びることを期待したいものです。

桜やハナミズキを見ながらのお花見。今年も野外では禁止のところもありますが、この季節、日本酒が恋しくなるのは僕の個人的な嗜好でしょうか? 料理王国の4月号は、中国料理の特集に続いて、第二特集で日本酒を取り上げています。テーマは、「シェフに選んでほしい日本酒」。居酒屋や日本料理の店で飲んだり、家飲みのための日本酒というのではなく、レストランでソムリエに選んで欲しい日本酒を特集しました。味覚チャートをつけて、ライトなのかフルボディなのか、甘みが強いのか酸味があるのか、燗がいいか、冷やした方がいいのか、といった3つの要素をわかりやすくチャートにして紹介しています。

日本酒は、純米大吟醸の甘めで香りが立っている味が主流だと思っていた僕は、新しい日本酒の潮流に感動しました。各蔵はいろいろな味の日本酒に挑戦しているんですね。その辺り、ぜひ本誌をご覧になっていただければと思います。紹介した日本酒はどれもキレが良く、スッキリしていますが、酸が効いていたり、甘みが独特だったりと、どれもレストランで料理と共に楽しめるものばかりです。中でも愛知県の長珍酒造の長珍は、燗にすると味が劇的と言えるほど変化します。奈良県の、美吉野酒造の花巴も燗でだいぶ印象が変わりました。もちろん、冷やして飲んだ方が美味しいお酒も紹介しているので、ぜひ、味覚チャートを参考にしながら、今どきの日本酒を試してみてください。

最近、テレビなどでも紹介されるようになった、山口県長州酒造の天美や、東京港醸造の江戸開城など、知らないと損をする新しい日本酒の流れをキャッチしてください。
最近、テレビなどでも紹介されるようになった、山口県長州酒造の天美や、東京港醸造の江戸開城など、知らないと損をする新しい日本酒の流れをキャッチしてください。

今回の特集で日本酒を選んでいただき、蔵元の取材をお願いしたのは、呑む文筆家(唎酒師)の山内聖子さん。山内さんの原稿は大変読みやすく深く、面白いので、ぜひ誌面で。飲みながらの酒特集の打ち合わせは、とても楽しいものでした。そんな昭和の時代的な雑誌づくりを令和の今になって、また味わえるとは思いませんでした。山内さんは毎週木曜日に有楽町駅前の隠れ家的バーでママをやっています。ちょっと覗いてみましたが、当然、一見さんお断りの大人のバー。その時は恐れ多くて入れませんでしたが、今度、ハナミズキのお花見飲み会の後に、勇気を出してふらっと酔ってみたいと思います。

今回、日本酒特集の構成、取材、執筆をお願いした、呑む文筆家(唎酒師)の山内聖子さん。撮影時には、しっかり全銘柄を利いていました。
今回、日本酒特集の構成、取材、執筆をお願いした、呑む文筆家(唎酒師)の山内聖子さん。撮影時には、しっかり全銘柄を利いていました。

text・photo:野々山豊純

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