井桁良樹さんの激旨中華「トマトの天津丼」


安くて少ない食材でも火入れや調味料で本格中華ができる

「食材のムダを省く」「余ったものを有効活用」「短時間で作る」「食べやすくバランスもよい」などーー。
中国四川省の名店でもまかないを担当したという井桁良樹さんは、今回、オリジナルのまかないを考案。それは、おいしさの追求はもちろん、冒頭の条件を満す3品だった。

 まず、「ピリ辛パイコー飯」。肉は豚の塊肉を使うのが一般的だが、今回はスライス肉で時間短縮。そのほか「親子丼をまかないにする時は、豆鼓を少し入れて中華風にしてみてください。豆鼓の塩気がアクセントになって、最後まで飽きることなく食べられるんです」などと提案。「安い食材を、どうレベルアップさせるか」も、学びたいテクニックのひとつだが、たとえば「トマトの天津丼」の主食材は、卵とトマトと干しエビのみ。卵の火入れを高温にするだけで本格的中華になるから不思議だ。「修業時代は、コンニャクを乾燥ナマコに見立てて調理したことも。淡白な味わいの豆腐もいろいろ応用できてまかないの研究に最適です」。

エビとゴマ油の風味が食欲をそそる
「中國菜・老四川 飄香」井桁良樹さんのトマトの天津丼

材 料(2人分)

トマト…大1個/卵…5個/干しエビ(戻したもの)…大さじ2/ニンニクのみじん切り…小さじ2/砂糖…ふたつまみ/チキンスープ…240㎖/水溶き片栗粉 …大さじ1/ゴマ油…小さじ1/塩、コショウ、油、ごはん…適量

もともとは中国の家庭料理。主食材も少ないので、忙しい時に便利です。

作り方

1.トマトは湯むきしておく。
鍋に油を注ぎ、塩、コショウで下味を付けた卵を入れて(A)強火で加熱(B)。それを器に盛ったごはんの上にのせる。

煙が出るくらいの強火で加熱して、卵の香りを立たせます。

2. 鍋に油を入れ、干しエビ、ニンニクのみじん切りを炒めたら(C) 1、を入れ(D)、チキンスープ、砂糖、塩、紹興酒、ゴマ油を加え、水溶き片栗粉を回しかける。

干しエビは水か湯で戻しておきます。

3.1の上に2をのせて(E)、完成。

もやしを入れると食感に幅が出て、またバジルを添えると彩りがより鮮やかになります。

「まかない作りでは、火入れや味つけの訓練も大切ですが、もっと重要なのはバランス」と井桁さん。限られた食材と短い時間で、いかにサービス精神を発揮できるかを観察しながら、指導している。

piaoxiang
中國菜・老四川 飄香
東京都港区麻布十番1-3-8 FプラザB1
03-6426-5664
● 11:30~15:00(14:00LO)18:00~23:00(21:30LO)
● 月、第1・3火休
● 54席
www.piao-xiang.com


上村久留美=取材、文 星野泰孝=撮影

本記事は雑誌料理王国第297号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第297号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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