獺祭をテーマにしたNFTアート、アートをテーマにした獺祭が8/31販売開始

獺祭をテーマにしたNFTアート、アートをテーマにした獺祭が8/31販売開始

「獺祭」が、アイルランド出身の現代アーティスト、ケヴィン・アボッシュ氏、CreativeWorkStudiosとともに、ユニークなコラボレーションを実施する。 アボッシュ氏が蔵を訪れ獺祭の酒造りを理解した中でNFTアートを制作し、旭酒造ではそのアートをテーマにした酒を造り、アートの購入者に届けるというものだ。

「獺祭」を製造販売する旭酒造が、アイルランド出身の現代アーティスト、ケヴィン・アボッシュ氏、CreativeWorkStudiosとともに、ユニークなコラボレーションを実施する。
アボッシュ氏が蔵を訪れ獺祭の酒造りを理解した中でNFTアートを制作し、旭酒造ではそのアートをテーマにした酒を造り、アートの購入者に届けるというものだ。

今回のコラボレーションはケヴィン・アボッシュ氏による旭酒造の酒造りへの想いと「獺祭」の世界観から産まれた。
アボッシュ氏が777点の唯一無二のNFTアートシリーズを制作。それに対して旭酒造は、その作品からインスピレーションを受け、厳選された山田錦を使って同社のハイエンド商品である「獺祭 磨きその先へ」を特別に醸造、NFTアートの初回購入者一人ひとりに届ける、というものだ。

アボッシュ氏からの提案に対して、旭酒造から出した条件は「蔵を見て欲しい」というものだった、と桜井一宏社長はいう。それは、「私達が大事にしている酒造りを見て頂きたい、芯となる部分を見て頂き、アートにしてほしいとの想いからです」ということだ。

獺祭をテーマにしたNFTアート、アートをテーマにした獺祭が8/31販売開始

獺祭の特長は、何よりその高い技術力にある。
それは「杜氏のカン」のような属人的なものではなく、分析や品質管理には最新の機器を導入し、それらに頼ることのできない、人の手による各製造工程にはプロフェッショナルを配置する。彼らは年間およそ3000回という、普通の蔵の15倍以上もの仕込みを、それも大吟醸のみを経験してゆくのだからその成長速度は推して知るべし、だ。事実、蔵長で、ニューヨークで準備が進んでいるDASSAI Blueへの転勤も決まっている三浦史也氏も33歳という若さである。

また、この7月に発表されたばかりの「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 遠心分離」も、彼らの技術革新を表現したものだ。
遠心分離機自体は実は2000年には導入されていたが、これで搾ると酒質が奇麗すぎてふくらみが足りない、ということでヤブタで搾った酒をブレンドしていた。それが蔵人達の醸造技術の向上により、遠心分離で搾った酒単体でも透明感とふくよかさを両立できるようになったことで、発売に踏み切った、とのことだ。
この20年余りでそれだけより緻密に発酵をコントロールできるようになったということであり、事実ヤブタや袋吊りのような布の香り移りや垂れる時の空気接触=酸化がなくなることで透明度が高まり、甘みや香りの繊細さが、通常の「純米大吟醸 磨き二割三分」よりさらに際立っていた。

獺祭をテーマにしたNFTアート、アートをテーマにした獺祭が8/31販売開始

そんな旭酒造にとっても、NFTは、たとえデジタルアートのパイオニアであると同時に、2016年からNFTの世界に深く関わっているケヴィン・アボッシュ氏とのコラボレーションだとしても、「未知のものへの挑戦」(桜井社長)だ。
NFTとはNon-Fungible Token = 「代替不可能なトークン」という意味で、ブロックチェーンの技術によりデジタルデータの唯一性を担保し、固有の価値を持たせるというものだ。今回のようなアート作品や音楽作品などにおいては模造品やいわゆる海賊版のようなコピー品の製造を防ぎ、制作者の著作権保護や作品の付加価値の向上につながっている一方で、料理、飲食の世界においてはレシピの保護やレストランの会員証、予約券のような例は散見されるものの、「食べる」「飲む」といったアナログな体験とデジタルな世界とがどうつながるかは、まだまだ未知数、という状況だろう。

獺祭をテーマにしたNFTアート、アートをテーマにした獺祭が8/31販売開始

今回のこの旭酒造の取組と同じようなスキーム、例えば、ある料理を食べてその印象でアートを作る、そのアートをNFTで販売し、購入者はレストランでその料理を食べられる、としても、料理自体が視覚的な要素を強く含んでいるものであり、その印象だけで現物の芸術性を超えるアートができるのか、購入者は固有の体験ができるのか、想像しづらいのが正直なところだ。
かといって無色透明の日本酒なら何でもアートに、それもデジタルアートになり得るか、さらに言えば唯一無二のNFTになり得るか、というとそうでもなく、単に「おいしい」や高級日本酒としての「ラグジュアリー感」といった一般的、抽象的なイメージ以上の、その蔵ならではアイデンティティのようなものが必要だろう。
それが獺祭の場合は蔵人達の技術であり、だからこそ桜井社長も「蔵を見て欲しい」という条件を出したのだ。

アートのテーマ、そしてそれを受けて醸される酒のタイトルはSUBLIMATA。これは「昇華する」という意味だ。
もちろん、酒、酒造りをアートに昇華する、という意味であろうが、この取組を通じて料理、飲食におけるNFTがどのように昇華していくのか、後から振り返って、この取組がそのターニングポイントだったと言える時が来るのか、今後の動きにも注目していきたい。

Collaboration Video Link:
https://youtu.be/QLbFZk7sQkA

Drop Date :: August 31
https://www.creativeworkstudios.com/kevinabosch

text:小林 乙彦(料理王国編集部)

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