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オリーブオイルの規格とルール
~ONAOO公式オリーブオイル講座
オリーブオイルを識って料理に活かす 第2回~

オリーブオイルの官能評価をするパネル・テスト、その基本

イタリアでプロフェッショナル・オリーブオイル・テイスターを育成する公的機関ONAOOが、オリーブオイルを扱う食のプロに向けてオリーブオイルについての基礎知識、テイスティングのメソッドを公開する日本初のweb連載。正しく識り、品質の良し悪し、味わいの違いを理解して料理の可能性を広げる一助を目指します。

IOC インターナショナル・オリーブ・カウンシルによる世界共通のルール

オリーブオイルは、それを作り、消費してきた土地にとって、なくてはならない存在だが、品質という点では長きにわたって多くの問題を抱えてきた。オリーブオイル本来の優れたクオリティとは似ても似つかぬ、見た目だけはオリーブオイル然としたものが売られていたのも事実である。
そのため、各国は消費者保護のために品質規定と表示規定を独自に定めてきた。
そして1959年、オリーブオイルの主だった生産国同士で世界市場に向けた共通のルールを決めることとなった。こうして誕生したのが、IOC、International Olive Council(国際オリーブ評議会)である。IOCは、各国のオリーブオイルと食用オリーブの生産者、消費者、そして業界関係者が参加する団体で、現在44カ国(うち27がEU加盟国)がメンバーとなっている。IOCの活動目的は、オリーブオイルと食用オリーブの品質向上に努め、ルールを制定、必要に応じて改正し、国際的な販売に力を入れることである。

IOCの決定は、参加国が採用する規定を調整したり、補足する拠り所となる。オリーブオイルとサンサ・オリーブオイル(抽出済み滓から絞ったオイル)の物理的・化学的分析数値の基準や官能検査の基準を定めることによって、品質と純度の分類を規定している。現在のその基準は2015年に発布、2017年に施行されたもの。
以下は、4つのカテゴリの違いを示す最も端的な基準。この他にも複数種の基準値が定められている。

エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル
オリーブの実から直接抽出したオイルで、遊離脂肪酸すなわちオレイン酸は最大0.8g/100g。

ヴァージン・オリーブオイル
オリーブの実から直接抽出したオイルで、遊離脂肪酸すなわちオレイン酸は最大2g/100g。

精製オリーブオイルとヴァージン・オリーブオイルの混合オイル
精製したオリーブオイルとオリーブの実から直接抽出したヴァージン・オリーブオイルを混ぜ合わせたオイルで、遊離脂肪酸すなわちオレイン酸は1g/100g未満。

サンサ・オリーブオイル
オリーブオイルの絞り滓(サンサ)から抽出したオイルを精製し、そこへオリーブの実から直接抽出したヴァージン・オリーブオイルを混合したオイルで、遊離脂肪酸すなわちオレイン酸は1g/100g未満。

IOCは官能検査(パネル・テスト)のメソッドも定めている。その内容は、オイルのテイスティングで評価に用いられる専門的な用語(ポジティブ及びネガティブな評価用語)、テイスティングに用いるグラス、テイスティングルームの環境、テイスターの選定とその構成と管理、テイスティング結果の評価表の取りまとめ方に至る。

EUのオリーブオイルの規格とルール

EUは、IOCが定めるルールに基づき、オリーブオイルの製造販売規定を定め、EUに加盟する全ての国はその規定に則っている。
1991年に発布、その後何度かの改定を経て現在有効となっている規定では、4つの規格に分類されるオイルについて、それぞれの化学的物理的分析数値と官能的特性(匂い、味など)が定められており、2012年に発布された規定では、パッケージの表示義務と製造販売についてのルールが定められている。

OICが分類する4つのカテゴリ
・エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル
・ヴァージン・オリーブオイル
・精製オリーブオイルとヴァージン・オリーブオイルの混合オイル
・サンサ・オリーブオイル
オリーブオイルの品質と純度を識別するための組成要素の基準はIOCの規定に則っている。たとえば、オレイン酸のパーセンテージとして示される遊離脂肪酸、過酸化物指数、ロウの含有量、脂肪酸に含まれるメチル及びエチルエステルの数値など。また、官能検査の方法についてもIOCが定める規定に従っている。

パッケージ規定は、4つに分類される食用オリーブオイル全てに適用される以下のように表示義務、任意表示について定めている。
・オイルの名称
・カテゴリ
・原産地
・保存方法
・収穫年
・製造方法(低温抽出、低温一番搾りなど)
・官能的特性(パネルが鑑定した結果)
また、梱包時の外箱のラベル表記、使用可能な容器の容量、封印方法についても定めている。

一方、2011年に定められた規定では、農産食品を購入する消費者を偽表示や不明朗表示などから保護するための正確な情報を提供するルールが定められている。55項目と15の付則では、食品を宣伝する際の表示は偽りなく明確でなければならず、ラベルに記された文字は背景に溶け込まない色で、1.2mm以上の大きさで表記することとなっている。さらに、栄養成分の表示も義務となっており、カロリー、アレルゲンとなる成分が含まれる場合はそれも明記しなければならない。

EU認定の品質表示マークとは。

DOP、IGPとは、食品の安全性と原産地を保証し、その伝統的な製法と環境を保護する目的の元にEUが定める認証である。
EU誕生当時より、農産食品の原産地を明示する法が整備され、現在は2012年に発布された法令で次のように定められている。

D.O.P. Denominazione di Origine Protetta 原産地呼称保護

原産地呼称とは、製造地(特定の地域、特定の州、稀に国)を明示する製品の名称(伝統的に用いられる名称も含む)。特定された地域内で全ての生産工程が行われ、製品の品質や特徴が、製造地固有の地理的環境、自然、人的要因によってのみ成立するものであることを示す。

I.G.P. Indicazione Geografica Protetta 地理表示保護

I.G.P. Indicazione Geografica Protetta 地理表示保護

地理表示とは、製造地(特定の地域、特定の州、稀に国)を明示する製品の名称(伝統的に用いられる名称も含む)。特定された地域内で少なくとも一部の生産工程が行われ、特定の品質や評判、そのほかの特徴が、その土地においてのみ成立するものであることを示す。

S.T.G. Specialità Tradizionale Garantita 伝統的特産品保護

特定の製品あるいは食品で、伝統的に使われる素材を用いて、その製造方法、加工、組成が伝統に則ったものである場合、STGの認証を受け、明示することができる。

製品の呼称を保護することによって、原産地と伝統的な製造能力に由来する特定の製品についての特質を保護、奨励する。それがEUの品質管理政策である。

認証マークは、消費者に確かな品質を保証し、製品の識別を容易にするためのものである。同時に、生産者が製造販売するのをサポートする役割も果たしている。

認証を受けた製品はリストに登録され、リストでは製品の規定、原産地についての情報も明示されている。

DOP、IGPの地理的表示システムは、特定の土地で作られた製品の優れた品質や、産地名と結びついた産品の評判を保護するものである。一方、STGはある特定の土地で伝統的な製法で作られる製品のその特質を保護するのが目的で、必ずしもその特定の土地で製造される必要はない。オリーブオイルに関しては、STGはなく、DOPとIGPのみである。

対象となる地域内に本拠を構える製造者が製品の販売の前に、国が管轄する公的機関または民間機関が実施する品質検査をパスして初めて、認証マークをつけることができる。

Text : Franco Macchiavello
イタリア農林食品政策省・農産食品の品質保護及び不正防止監督署元官僚

Text : ONAOO https://onaoo.it

日本では、オリーブオイルはポリフェノールを多く含むほど良いオイルという認識が定着している。健康食品であるという点が強調されるからだろう。しかし、ラベルにポリフェノール含有量が記載されることは稀だ。それは、ポリフェノールを始めとする種々成分はロットごとに異なるため、ラベルに印刷することが実際上不可能だからである。

また、生産者は輸出前に成分分析を検査機関に依頼しているため、輸入者の手元にも成分分析結果が届くが、あくまでもサンプルの分析結果なので、消費者が実際に手にしているオイルがその分析結果と同じとは言えないため公表しないのが普通である。

DOPやIGPの認証は、一定の品質を保証するものだが、その認証マークがないものは品質が劣るという訳ではない。認証マークは優劣の目安というよりは、伝統的な産地であることと製造方法が証明されていることを示すものと捉えた方が良い。

text・translation:池田愛美 Ikeda Manami
ONAOO所属プロフェッショナル・オリーブオイル・テイスター

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